カサエゴ

Casa Egoista (定員一名の小さな家)

タイムレス

YouTubeでよく昔のCFを見る。
80年代から90年代のCFはいかにも懐かしく、同時に今の眼で見ると何とも古臭い時代感が漂っているのも面白い。
特に服装やヘアスタイル、メークなど、当時の最先端であった物ほど今見るといたたまれなくなるほど野暮ったく映るのも興味深いところ。男はまだいいのだが、女性がすごいね。裃みたいなジャケットにスフィンクスみたいなソバージュにぶっとい眉毛に真っ白い顔に真っ赤な口紅。うーんすごい。犬が吠えかかりそうだ。
とか言っている今現在、2010年の風俗も2030年の人間にとってみたら噴飯物なのだろう。そう思うとどことなく無常を感じさせる話ではある。

衣服は所詮消費財なのでどうでもいいのだが、さすがに住宅は流行で使い捨てる訳にもいかない。
ファッションの「もう20年」も家にとっては「まだ20年」、まだまだ住める家なのにダサくて我慢できないなんてなったら誰にとっても不幸な話だし、長く使い続けるものであれば流行を追うよりも「自分の満足」を第一に考えた方がいいのではないだろうか。
自分の趣味が流行と合致しているのであればそれはそれでいいのだが、自分で考えたつもりが実は誰かの受け売りでしかなく、個性のつもりが流行に踊らされて右に倣えしていただけだったというのもよくある話。その辺自信がないのならとりあえずオーソドクスでシンプルな意匠としておけばハズレはない。

というか、自分はそうした。
当世の流行に影響されたくなかったので、家作り期間を通して書店にならぶ家作り本も敢えて手にしなかった程。

なのでこの家にはステップフロアも螺旋階段も吹き抜けも「なんということでしょう」もない。
昨今のトレンドに乗っている感じも特にしない地味でシンプルな普通の箱、だが却って飽きる心配もなくていいのではないかと思う。

それに住んでみると分るが、「普通」は本当に使いやすいのだ。