カサエゴ

Casa Egoista (定員一名の小さな家)

飽きずに三年

家に入居してから満三年を経過。
三年も経てばさすがに新築の匂いもなくなり、もう立派な中古住宅。
家の広さは延床で15坪、玄関外のポーチ部分を除けば正味13.5坪程しかない小さな家に室内ドアは一切なく(洗面トイレスペースに簡単な引き戸はあるが開けっ放し)、一階も二階もほぼ完璧なモノスペース。スキップフロアとか螺旋階段とか当世流行のディテールも一切ない。これ以上はないというほど質素でシンプルな間取り。ていうか間取ってない。
それで飽きるかといえば、これが一向に飽きない。掃除をしているだけでも楽しいし、空間を広げるべく持ち物の整理をしていても楽しい。こんな小さな家にずっと籠っていても息苦しくはならないし、全く苦にならない。
それはなぜかといえば、やはり自分の思う通りに建てられた家だからだろう。身体にフィットして馴染んでいて、全く違和感がない。当然不満も出ない。逆に建売の既存の間取りや仕様をそのまま受け入れて住んだのであれば例え二倍の広さがあってもきっとあちこち不満が出てきて、今頃は早くもリフォームの見積もりや買い替えシミュレーションなんかしているかもしれない。自分の性格からして。

ハウスメーカーよりローコストで仕上げて貰える。お洒落なカッコいい家を作ってもらえる。
建築士との家づくりについて巷間で考えられがちなこのようなメリットは、実は枝葉末節な話であって本質を捉えていない。オーダーメイドで服を作る最大のメリットは価格でも高級な生地が使える事でも凝ったディテールを盛り込める事でもなくて、何より自分の体型にぴったり合わせて作って貰える事。と考えると正解が見えてくる。