カサエゴ

Casa Egoista (定員一名の小さな家)

「高級なもの」でなくて「いいもの」が欲しい

「いいもの」は手にするだけで快いと前回書いたが、どこで分かるのかと聞かれると言葉で表すのはなかなか難しい。手にした感じ、見た感じ、佇まい。諸々の修辞を超えて直感的に「いいもの」が分かる人間のセンサはなかなか侮れないところがある。

触れれば理屈抜きに「いいもの」と感じるものに「木の床」がある。
「いいもの」イコール「高価なもの」「高級なもの」とは限らなくて、床材で言えば床暖仕込みの出来のいい合板フローリングは無垢材より高価かつ見た目も高級感に溢れていたりするのだが、高い安いの問題ではなく木の床は「いいもの」。触れれば分かるその直感が間違っていない事は時間の経過とともに分かる。
床暖房が出来ないとか収縮して隙間が出来るとか手入れが面倒とか節が嫌だとか細かいネガをあげつらえばきりがないが、「いいもの」に直に触れて生活する贅沢な日々に比べれば小さなもの。
繰り返すが、木の床の良さは「触れれば分かる」。そう簡単に取替えの効くパーツでないだけに、触感を重視する人、触感フェチを自負する人なら家を建てる際には必ず触って撫でて出来れば寝転んでみてから床材を選んだ方がいい、と思う。でなければ逆に一生「木の床」には触らないとか。