カサエゴ

Casa Egoista (定員一名の小さな家)

霧の牡鹿

最低気温20度最高気温26度、これ位まで気温が下がれば半袖一枚なら快適に車に乗れる。
待望の肌寒い日の到来を寿ぎ、実に三ヵ月半ぶりに車のエンジンを掛けると西に向け出発。
奥多摩湖につく頃にはすっかり夜。


走り屋もヤン車もいない

夜の奥多摩湖周辺には自分以外の車の姿はまるで見当たらず、ワインディングはほぼ貸切り状態。
前が詰まってイライラすることも後ろから煽られてイライラすることもなく、調子に乗って気持ちよく流していると辺りには徐々に霧が立ち込めてくる。
少しペースを落としてクリアしたコーナーの先、ヘッドライトに突然浮かび上がったのは、道の真ん中で突っ立っている一頭の鹿。
角の先まで含めれば自分の背丈と同じくらいもある立派な牡鹿は目の前に現れた車に一瞬狼狽した様子を見せたが、すぐに踵を返すと背中の斑点をライトにきらめかせてガードレールを軽々と飛び越え、夜の闇に消えた。
時間にしてほんの数秒の霧の中の出来事。まんが日本昔ばなしの一シーンのように幻想的な…
いやーしかしこっちに突っ込んで来なくて良かったなあ。あんなデカブツを撥ねたら廃車だよこっちも。