カサエゴ

Casa Egoista (定員一名の小さな家)

理想の墓石

盆の墓参りで墓石を洗う度に考えるのがメンテが楽な墓の形状について。
車を買う時も家を買う時も、買えるかどうかよりその後維持管理していけるかどうかが気になって仕方がない性分としては、汚れのたまりやすい通常の墓石の形はどうも気に入らない。


こういう通常の墓石に無数に存在する凹凸や隙間に一年間で溜まる汚れや苔は相当なもので、桶で水掛けてブラシで擦ってなんて幾らやっても埒が明かない。ケルヒャーでも持ち込みたいところだが、墓地にはあいにく電源がない。掃除する人の苦労を考えていない形状だよなとぶつぶつ文句を言いながら今年も猛暑の中を行ってきたのだが、理想的には隙間のない一体式で角や凹凸がない、スライムのような形状の墓石がベストではないかと思う。名前は彫るのではなく表面にレーザー転写でもすればなおよし。

という持論に最も近い、素晴らしい墓がまさか同じ墓地に存在するとは。



これは凄い。本体に用いられた御影石は僅かに三つ、全て表面は鏡面仕上げに磨き上げられて凹凸も彫り文字もなく、汚れの溜まる箇所が殆ど見当たらない。水ぶっ掛けてタオルで拭けば手入れ終了、墓掃除に五分とかかるまい。これなら墓参りする人も大助かり。
表にも裏にも名前が一切刻まれていないのだが、考えてみれば郵便物が届くでもない墓石は家族や親族縁者に分かってもらえればそれで十分な訳で、縁者にしてみれば同姓も多い普通の墓を探し回るより遥かに見つけやすい。つくづくよく考えられた墓だと思う。建てたのはさぞかし気の利いた性格の人だったのだろう。