カサエゴ

Casa Egoista (定員一名の小さな家)

杉並の家R

去る18日に行われた杉並の家Rの見学会。
S氏にお声がけいただいて参加する事にしたのはいいが、当日重なった我が家の工事の準備に手間取ってすっかり出発が遅くなる。さらにバイクで赴いた道中でアクシデントが重なり、お宅の前に到着した時点で終了時間ぎりぎり。
と思いきや、ここで終了時間をなんと一時間(遅く)間違えて覚えていたことが判明。

…えーと。つまり、到着の時点で既に終了時間を一時間近くも過ぎていると言う事ですか。そうですか。そうですね。そうですよね。そう思ったんですよ(意味不明)

途中のアクシデントといいこれといい、これは神様がここに来るなと言っているのに違いない。
そうだそうに違いない。帰ろ帰ろ
と現実逃避しつつ、降りたばかりのバイクにふらふらと近づいて一旦はハンドルに手をかけたものの、連絡なしでブッチするのも社会人としていかがなものかと思い直して恐る恐るS氏に電話。
遅えよバカ帰れと言われるのを覚悟していたら、なんと家主のSさんご一家のご好意でこんな時間から見学させて貰える事になり(ああやっぱりS氏のクライアントはいい人だ)、呆れ顔で迎えに来たS氏に続いて恐縮しながら門をくぐる。
玄関で靴を脱いでいると、道中のアクシデントで脚にふりかかったビールの臭いがぷーんと立ちのぼってさらに恐縮具合に拍車がかかる。バイクで来てるのにビール臭いおっさんて危なすぎだろ。もうどんだけアウトローなのかと。その節は大変失礼しました。色々と。


杉並の家R」は、二世帯住宅の家主ご一家が住まわれる空間のみリフォームという聊か変則的な事例。
S氏の手がける家でおなじみの「杉の床」と「白い壁」で出来た柔らかな空間の中で異様な存在感を放つのが、ホームエレベータを撤去して出来た大空間に設けられた廻り階段。下から上までの壁面が全て杉板で覆われ、しかもその杉板は壁張り用の薄い板材ではなく分厚い床材をそのまま用いているのでその重厚感が凄い。あんまりないねこういうの

印象としては、白い家の中央を上下に貫く杉のトンネル。
杉に囲まれた異空間を回りながら上っていくと、壁も天井も真っ白い明るい空間がぱっと開ける、といったイメージ。これが壁面全部だと山小屋か!と突っ込まれるところ、この一箇所だけ集中して杉が投下されているのでその存在感がより際立っている。

杉のトンネル

リフォーム後3年を経過しているので柔らかい杉の床はそれなりに傷つき、また変色している。そのボコボコ具合はよく撮れているS氏の写真でご確認いただくとして、杉板はこうなってこそ味が出てくるもの。床に少しの傷も付かないように定期的にガラスコーティングしている人には理解できない「味」かもしれないが、このラフな感じはいいと思う。
またあちこちに設けられたピクチャーレールから幾つも額絵が吊り下がっていたり(壁に絵を飾る家はあまり多くない)、先代から受け継いだ旧い振り子時計を大切に手入れして現役で用いていたりと、そこかしこにセンスの良さと居心地のよい内部空間とするために心を砕いている様子が伺えるのがとても感じがいい。
やはり実際に人が住んでいる家を見学するのは面白いし為にもなる。なかなか出来る事ではないけれど。



S家を辞するとトンボ帰りで工事開始!