カサエゴ

Casa Egoista (定員一名の小さな家)

シャビーな壁掛けフック(シックかどうかは知らん)

何やかやと自ら手がける箇所の多い我が家。だが世間にはDIY無関心派を通り越したDIY否定派もいらっしゃって、それらの意見を集約すれば「既製品買うか業者にやらせるかした方がずっと早いし出来もいい。そんな事に時間をかけて節約したつもりになっても時給換算すれば結局損してる。バカの所業」と辛辣な意見をかます積極否定派と、DIYの醸し出す素人臭さ、拙さ、チープさが貧乏臭くて嫌だという消極否定派に大別できる。
前者に対しては半分以上趣味なんだからほっとけ(趣味に生産性を期待するほうが貧乏臭い)と言って終わりだが、後者の意見も言わんとするところは良く分かる。自分にしたところで、地域に一人くらいいる変わり者のおじさんが一から十まで自分で拵えて、壁に変な張り紙がべたべた貼ってあって屋根にマネキン刺さってるみたいな、ゴミ屋敷だか秘宝館だか分からないような怪しい風体のセルフビルドハウスを見ても全く素敵とは思わないし。
それは極端な例としても、出来の悪いDIYは家の雰囲気を壊してしまうので嫌だというのは分かる。であれば出来の悪いDIYでも雰囲気を壊さないような家であればいい訳だ。例えば自分で貼って皺が寄ってしまった壁紙は誰がどう見てもみっともないだけだが、自分で塗ってムラムラになった塗り壁はそれも味と強弁解釈することができる。ツルピカのホテルライクなインテリアにボロっちい工作は場違いなだけだが、初めからシャビーな味のある内装であればボロさが浮き上がる事もない。
ということで、そういうのが好きな人は家を建てる時からそういう作風が得意な建築士さんを選ぶのがいいと思う。人それぞれで得意な作風というものがある。雑誌なんかでよく紹介されていたりする、内装は床も壁も天井も真っ白で研究室か現代美術か2001年宇宙の旅かみたいな家、あんなのはもう素人が手を出しようがないからね※1


前書きが長くなったが、ということで今年に入って一発目の家作りはシャビーなDIY。風呂から上がっても着替えの置き場もないと文句を言われたことを思い出し、洗面脱衣場にフックを拵えた。
まずはアンティーク屋さんから調達した適当な古材(30年代の米国の家から引っぺがしたもの)に、



これまた30年代の、丁度いいサイズのアンティークのフックを並べてみる。
本来は鎧窓に逆さに取り付けられていた開閉取っ手らしい。どんな家に使われていたのか、狭い間口の都会のアパートメントの窓だったのか、田舎の一軒家の二階あたりの窓だったのかと思いを馳せることが出来るのもアンティークパーツのいいところ。まあ興味ない人には全く興味ないことだろうけど


何か良さげな感じなのでネジ留めする。本当はマイナスねじを使うべきところだが、丁度いいサイズのマイナスねじが売っていないので仕方ない※2
場違いにギラギラ光るビスの頭には予めアンティークホワイトを塗っておく。

皿ねじを使うなんて野暮なことはしない

あとは壁の裏の間柱にネジ留めしておしまい。さあ思う存分パンツでもシャツでも掛けるがいい。

石膏ボードの裏に隠れた間柱の探知には下地チェッカーが大活躍


所要時間は一時間足らず、コスパ厨もこれなら文句はないだろう。
それどころか、インテリア屋さんでなんちゃってアンティークな壁掛けフックが結構な値段で売られていることを考えればこれは十分売り物になる(確信)。好きな人は好きなんだなこういうの。売らないけど。


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※1 逆にシャビーシックは貧乏臭くて嫌という人(嫌いな人は大抵そう言う)には向いている。そういう人は出来るだけ新品の綺麗な状態を維持することに重きを置くタイプなので、そもそも家の改造には興味を示さないだろうが。
※2 プラスねじの歴史はマイナスねじに比べれば圧倒的に浅く初登場は30年代。今回の組み合わせは年代的にぎりぎりセーフか