カサエゴ

Casa Egoista (定員一名の小さな家)

脱走防止柵を作る(2)なければ作ろう不如帰

またも沸き立つDIY

 

既存の脱走防止柵はどれも帯に短し襷に長し。「にゃんがーど」なら少し細工すれば十分使えそうではあるのだが、よくよく見れば何の変哲もない2x4材にディアウォールをつけただけの柱が二本と間に格子の扉が一つ、これでおよそ四万円。

www.wakaisangyo.co.jp

 

自分は決して原価厨ではないし、製品が製造原価で世に出回る筈がないことも重々承知しているのだが、しかしこの位なら自分で作れね?と思ってしまったのも事実。それに天井まで届かんばかりの格子戸はただでさえ狭いこの家を更に細かく区切って狭く見せてしまうことになり、その点からもこの設置は躊躇われる。

どうせ少なからざるコストを掛けるのであれば、もっとこの家と自分の好みに合うものを。薄く小さく存在感がなく、使わないときはコンパクトに収納出来てかつ野暮ったくもない、そんな柵。ないなら作るしかない。四万円で既製品を買ったと思えば、多少贅沢にコストをかけても惜しくはない。

 

HOOD選手一世紀ぶりの登板

イメージは欧州の雑貨屋で何度となく目にした、閉店後の店を守る伸縮式の鉄の防犯フェンス。あんな素材がないものか。

あれでもないこれでもないと素材を探している内に、そういえば以前トイレットペーパーホルダーを購入したインダストリアル系に強いアンティーク屋さんでそれっぽいハンガーホルダーを目にした記憶が蘇った。あれなら使えるかもしれない。

casaegoista.hatenablog.jp

 

久々にHPを訪れてみると、記憶通りの製品の売り物が自分に買われるのを待つように一つだけ残っている。

サイズを確認する。十分な長さではないが柱を立てれば何とかなりそう。

これはいけそうだ。との直感にしたがって早速取り寄せてみると、届いたのは「"HOOD" DALLAS, TEXAS」とプレートに打刻された、想像以上にがっちりと組み上げられたスチールプレートの塊。およそ100年も前に作られ、伸ばした状態で上着とハンガーを八組もぶら下げるられるなどの酷使を経てきたにも関わらず、ガタつきは皆無で目立つ錆びもなく、程度は極上。一目で気に入った。

 

 (材料力学で必要十分な強度計算を行い、最低限の材料でぎりぎりの強度を確保して無駄なく合理的に機械生産された現代のスマート*1な製品ではありえない過剰品質がビンテージ工業製品の魅力。過剰な太さ、過剰な分厚さに過剰な頑丈さ。生産機械が未発達な時代ゆえに馬鹿馬鹿しいほどの手間暇をかけられて世に送り出された製品はある意味贅沢なことこの上ない*2

 

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縮めた状態では20㎝程

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目いっぱい伸展すると90㎝程度までカバー

 

よし、これを使って我が家にふさわしいコンパクトな脱走防止柵を作ろう。

しかし100年前のダラスで無数のむくつけき南部男どもの上着を預かってきたハンガー掛けが、最後には遥か太平洋を越えて日本は東京で猫の脱走防止柵になろうとは。なんという可愛らしい余生だろう。笑

 

 

*1:スマート:賢い

*2:我が家のトイレットペーパーホルダーなんかその典型。たかだかトイレットペーパーを保持するのになぜ1㎏もある真鍮無垢が必要なのか。用途に必要な強度の軽く百倍は頑丈に作られた製品の何と馬鹿馬鹿しくも贅沢であることか。もう大好き