カサエゴ

Casa Egoista (定員一名の小さな家)

旅におすすめPEAK DESIGNアッセンブリー

旅と言えばカメラという人にお勧めしたいのが、5年前からカメラ回りで愛用しているPEAK DESIGNの製品。

www.peakdesign.com

 

このメーカーのカメラ回り製品のラインナップを見るとワンタッチで外せるカメラストラップメッセンジャーバッグスタイルのカメラバッグ、までは優秀だが他に類似製品がないでもない。
このユニットの真骨頂は組み合わせで発揮される。特に頑丈なクリップをバッグに組み合わせてバッグ外部にカメラを下げて使える機能は、行く先々で戦場カメラマンのごとくシャッターを押す撮影好きな人には便利なことこの上ない。

通常の旅先での撮影スタイルは常にカメラをストラップで首から下げておくか、撮影の都度バッグからごそごそとカメラを取り出してはしまうことを繰り返すのが常、前者はブラブラしてあちこちにぶつかるカメラが邪魔くさく誰がどう見ても一目で観光客(と書いてカモと読む)とわかる野暮ったさ、後者はとにかく面倒でその内撮影自体が面倒になってしまうのがそれぞれ難点。

ところがこのクリップをバッグに取り付ければ(このページでキーテザーと説明されている箇所に挟む)、撮りたくなったらワンタッチでクリップからカメラを外し、撮り終わったら右手を後ろに回してクリップに差し込むだけで収納終わり。普段はストラップを外してバッグに直接ぶら下げて持ち運び、カメラだけで持ち歩きたいときはワンタッチのストラップを取り付けて持ち出すという機動力抜群なスタイルでカメラを運用することが出来るのだ。
むき出しのカメラをバッグからぶら下げるのは不用心にも思えるが、ぶら下げたカメラは背面に回るので正面からは見えず、クリップもクリップで挟み込むバッグのキーテザーも相当に頑丈なので、ひったくりはおろかナイフで切ろうにも(少なくともエスカレーターや電車でコソ泥に与えられた数分程度では)まず無理。よほど治安が悪いところでもなければセキュリティ面でも心配はないだろう。

この優れモノは我が国でももう少し普及してもよさそうなものだが、意外に自分以外のユーザーをついぞ見かけたことがないのでここいらで一つご紹介の巻。

 

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振り返るとこんな感じでバッグにぶら下がっているのが見え

 

北の大三角形の旅(序)青の都から行先変更、ロックダウン前夜の欧州へ

突然の日本人お断りのお知らせ

3月初め頃に取得する予定であった年に一度の連続休暇で当初予定していたのは中央アジアへの旅。キルギスから入り、タジキスタンウズベキスタンと西へ向かい、青の都サマルカンドあたりまで周遊する予定を立ててキルギスまでの航空券まで取ったところで、出発予定の三日前に飛び込んできたのがキルギスの日本人に対する(事実上の*1)入国禁止というニュース。

 

ロックダウン直前の欧州へ行先振り替え

ギャース!購入した航空券は格安なのでキャンセルしても返金はほぼない(購入時に返金保証の保険を付けておけばよかった)。ン万円の損を泣き寝入りして今年の休みは家で寝連休とするか損を承知で別の行先を決めるかを突然迫られることになって急遽組み立てた北への旅。

シリウスベテルギウスプロキオン冬の大三角形と呼ぶのになぞらえ、アイスランドスヴァールバル諸島フェロー諸島と極北の島を巡ったこの旅を北の大三角形の旅と名付ける。終業後のオフィスでああでもないこうでもないとコスト優先で組み立てたフライトスケジュールは10日間の旅程で実に搭乗が11回と殆どパズルのようなもの。
短期間にこれだけフライトが集中するとさすがに怪しまれてパスポートコントロールで妙に根掘り葉掘り聞かれたり、セキュリティでは漏れなくテロリストチェックを受けるようになったりするが、結果からすると今回の行先も大当たり。いずれの国も街も今回のような駆け足でなく一週間ぐらい腰を据えて滞在したいところばかりで、いつか再訪問する時の為にここに書きつけることとする。

後から振り返ると旅の日程は欧州各国が立てて続けにロックダウンする直前期にあたり、あと十日も後ろにずれ込んでいたら自分も帰路に発つ前にロックダウンに巻き込まれていた筈。普段であれば海外のどこに行っても目に入る筈の中国人、日本人、韓国人がどこに行ってもまるで目に入らないという珍しさも含め、ひときわ印象深い旅ではあった。

 

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これが北の大三角、物凄く北側(語彙力)

 

 

*1:2月末時点で日本人は2週間の隔離で経過観察、異常がなければ入国を許されるという措置。今にして思えばこれでもまだ緩かった

アベノマスク

全世帯の4%しか配布されていないと報道されていた先週のうちに早々に我が家の郵便受けに配達されていた噂のアベノマスク。皆の衆すまんの。と思いつつ手に取ると

 

これは…

 

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比較用に並べた三層サージカルマスク

お洒落か。この小ささがシャレオツなのか。昔ながらの布マスクとしてはとりわけ小さいという程でもないが、今どきのサイズからするとこれは…うーむ。

 

こんなの二つに440億円だか使うくらいならバタバタと倒れている飲食店や美容室の補償にでも当てた方が良かったのではないかと。

何だか存在意義の分からないこのガーゼ五層マスク、使いようがないのでお出汁を濾すのにでも使おうかと思う。知らんけど

 

どうせならこっちのアベノマスクを配布した方が洒落が効いてて良かった。支持率ガタ落ちか爆上げかのハイリスクハイリターン路線だが、今の日本人にこれを洒落として受け入れる素地があるかが問題ではある。多分ない

 

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アンチジャイアンツには逆効果か?



 

シール剥がしですっきり

我が家が本当の我が家になるのを待っていたかのように僅か9年半の短い生涯を終えたパナソニックの洗濯機に代わり購入したシャープの二代目洗濯機、折角のまっ平らな天板に所狭しと貼られたシールでそのデザインも台無し。
洗濯機も電子レンジも冷蔵庫も、家電に貼られたシールを剥がすことでごちゃごちゃした風景が少しでもすっきりするのであれば遠慮なく剥がす剥がす。シールの注意書きに書かれているレベルの内容は漏れなく取説に載っているので後生大事に取っておく理由は一つもない*1。視覚情報は可能な限り少なくするのが極小の家を少しでもすっきり見せるためのささやかなライフハック

 

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あー鬱陶しい

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これですっきり。電源ボタンのプリントもコンパウンドで消そうかな

 

*1:さらに言えば取説など速攻で必要なページだけ電子化して捨ててしまうのが吉

おろしや国一週間(22)二都から空港へのアクセス

国の玄関である空港に降り立った人はほぼ全てがそのまま街へ行くので、所謂先進国と呼ばれる国であれば降り立った空港から街へのアクセスは整えられているし、どう行けばいいか分からないと困ることはまずない*1。しかしその逆はどうかというと今一つ分かり辛いところがあるのは否めない。なかなかの格式とお値段の大型ホテルなら空港までのシャトルバスが出ていたりする場合もあるが、多くは自力で辿り着く必要がある。
お金さえあればタクシーが一番楽だが、万国共通で一番高くつくうえに到着時間が読めない。到着時間が読めないのはバスも同じで、渋滞の心配なく速やかに到着するには電車しかない。ということで自分は可能な限り電車を利用することにしている。

 

1.モスクワ市内からシェレメチィエボ空港はらくらく

モスクワ市内から空港へのアクセスはタクシーを除けば地下鉄とバスの乗り継ぎかベラルースキー駅からのエアポートエクスプレスがあるが、楽なのは断然後者。ロシアは交通機関料金も安いので、都心部に投宿ならほぼエクスプレスの一択となる。

 

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べラルースキー駅は地下鉄5番線と7番線のベラルースカヤ駅と直結していて、飛行機マークを目指して歩いていけばあっさり辿り着けるようになっている。

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エアポートエクスプレスの表示

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空港行きエクスプレスの窓口

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券売機でチケットを買う

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もちろんクレカOK

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料金は950ルーブル=1400円程度。安い

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およそ30分に一本、所要時間およそ30分
 2.サンクトペテルブルク市内からプルコヴォ空港は少し面倒

サンクトペテルブルクからプルコヴォ空港までは少しだけ難易度が高い。この街は空港から市内への鉄道アクセスが未だ整っていないので、タクシーを使うのでなければ必然的に地下鉄と路線バス(エアポートリムジンバスじゃないのね)の乗り継ぎで空港に辿り着くことになる。

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こちらはほぼ郊外

まずは空港行きのバスが出ている地下鉄駅、青い2番線の終点の一つ手前のモスコフスカヤ駅まで行く。
プラットフォームに降りると取りあえず空港行バスを示す標識に従って進む

 

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外国のバス停あるあるだが、幾つもの路線を数少ないバス停で兼ねていて、しかもバスには路線番号以外の表示がない。少しばかり緊張するところだが、柱の標識で空港行は39路線であることを把握して地上に出る。

バス停は案の定のごちゃごちゃぶりで且つ英語表記もない、ここで行先を間違えたら一巻の終わりなので注意深く39路線の表示を探す。

 

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11路線兼31路線兼39路線兼59路線のバス停を発見

唯一の空港行きのバス停にも関わらずこの無愛想さがおそロシヤ。
初めは面食らうが、余程の早朝か深夜でもなければよく見れば自分と同じ空港行きの旅行者がスーツケースと共に立っている筈なのでどのバス停か見当もつかないことはない筈だ。

 

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39と表示されたただの路線バスが到着

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空港までは15分程度、料金は路線バス統一料金の100円位だったかとにかく安い

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到着

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表のカジュアルなカフェは

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営業時間外で残念

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サンクトペテルブルクで唯一残念だったのがこのプルコヴォ空港で、受付カウンターの意地悪な姉ちゃんには機内持ち込みは一つまでと嘘をつかれて機内持ち込みの荷物を強引に預け荷物にされ(挙句に乗り換えのモスクワでロストされ)、セキュリティの空港職員の兄ちゃんには人種差別的な口を利かれたりとロクな印象はない。空港までの道のりの面倒くささもあわせ、ロシアを旅するのであればモスクワから出国できるよう日程の調整を是非ともお勧めしたいところ。

 

*1:これが所謂後進国だと空港から街中への公共交通機関は皆無でアクセスはタクシーのみ、しかもほぼぼったくりの白タクであったりするような場合が珍しくない

おろしや国一週間(22)世界一美しい地下鉄駅に行こう!

最終日はチェックアウトしたら午後一のフライト。チェックアウトして空港に直行するには時間が余り過ぎるが遠出するほどの時間はない、このような半端時間を埋めるのが地下鉄駅見学。

世界には美しさでもって知られる地下鉄駅は数多い。ストックホルムのT-セントラーレン駅の青い壁画も有名だが、

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T-セントラーレン駅、2007年

そのクラッシックな美しさで世界一美しい地下鉄駅と評されることが多いのがモスクワ地下鉄のКиевскаяキエフスカヤ駅。

 

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青い3番線、水色4番線と茶色5番線のターミナル駅

空港でも地下鉄駅でも実用一点張りでデザイン要素皆無な日本とは根本的にセンスが違う欧州の駅は見るだけで楽しめるものが多いのだが、冷戦下のソ連が(多分)東側陣営のボスとしての威信をかけてコスト度外視で飾り立てた駅とあらばこの目で見ておかない訳にはいくまい。幸いキエフスカヤは都心なのでアクセスは非常に楽。
ではレツゴー

 

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vimeo.com

 

博物館ではない。単なるプラットフォームをここまでの装飾に駆り立てる馬鹿馬鹿しいほどの情熱もまたおそロシヤ。


キエフスカヤ駅は青色の3番線と水色の4番線、茶色い5番線が交差するハブ駅であり、プラットフォームの豪華な装飾も路線毎で少し趣が変えられているので見逃さないようにしたい。

 

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こちらは5番線ホームだったかな(忘れた)

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モザイク画博物館の趣

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陰翳礼讃

コロナ禍により在宅勤務を強いられることとなってからもうすぐ一か月。

自宅に仕事を持ち込まない主義の自分にとってテレワークはどれだけ苦痛だろうと危惧していたが、想像通り仕事量と労働時間が更にハードになってしまったことを除けば意外にも大したことはない。現代のネットワーク環境を使えば業務も会議も出社して行うのとほぼ遜色のないレベルで行えることが分かった。

これはこれであり。という事は汎日本的に認識されてきたらしく、最近はアフターコロナの社会の変わり方を予測する記事が多く出ている。今後は通常勤務をテレワークとする人が増え、それにより住環境の選び方と不動産の価値観に根本的な変化が生じるという話は実現したら少し面白いかもしれない。
企業にとっても出勤しない労働力の存在はオフィス家賃や交通費の軽減という意味で歓迎すべきことには違いなく、コロナ禍の後でも基本は在宅で仕事しオフィスには月一回程度出社、という働き方は今よりずっと増えるかもしれない。それが労働人口の三割にも達すれば「とにかく駅近」「職住近接」という家選びの黄金律も根本から崩れることになるだろう。
普段は九十九里の浜辺や鬼怒川の温泉地、あるいは軽井沢の別荘地などで豊かな自然に囲まれてテレワーク、偶にある出社日だけ前泊でもして何とか凌ぐ。都心の会社に勤めながらそのように生きることが市民権を得るようになれば都心の一極過密も地価の馬鹿げた高騰も解消され、同時に地方の過疎問題も緩和され、自分の家を持つハードルもずっと低くなる筈だ。

で表題はというと、陽が沈み家の中が徐々に暗くなっていって徐々に黒い絵の具で塗りつぶされる様に影が闇に溶け込んでいく様を目の当たりにするのもなかなか面白いという、住んで十年にしてなお新しい発見があったという意味。

 

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DKで仕事中の同居人を見下ろす居候の図