カサエゴ

Casa Egoista (定員一名の小さな家)

北の大三角形の旅(11)2020年3月6日 Faroe Islands 1(極北の島から北の島へ)

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北の島のハシゴは大変だ

アイスランドスヴァールバル諸島に続く北の大三角形の締め括りはフェロー諸島
スヴァールバル諸島からフェロー諸島は直線距離なら二時間程度のフライトで十分な筈だが、生憎この両島を結ぶ直行便はない。

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本来ならこれ

なのでロングイエールビーンからフェロー諸島へはどうやって行くかというと、まずはロングイエールビーンから首都オスロまでの国内線に乗り、

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次いでオスロからコペンハーゲンの便に乗り換え、

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そしてコペンハーゲンからフェロー諸島の首都トーシャウン行きの便にまた乗り換える。

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ということで大変な手間と時間がかかってしまう。本来は二時間のフライト一本で済む距離を二か所の空港を経由し三回のフライトで10時間掛けて漸く辿り着くというツアコン泣かせの便の悪さ。北の島巡りのツアーはとても組めそうにないね

 

 

 ロングイエールビーンからは深夜発

スノーモービルツアーを堪能し宿に帰り着いたが、二泊目は取っていない。翌日中に次の目的地フェロー諸島に辿り着くには、翌日の午前二時半のフライトでこの島を発たなくてはならないからだ。ということで宿のロビーでうとうとしながら空港行きのバスが来るまで充電したり画像を整理したりうとうとしたりしながら時間を潰す

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暖かく快適なロビーで体力を回復

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アラビアの便器!これはレアもの

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お迎えでゴンス

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ロングイエールビーン空港までおよそ30分

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もちろん到着ロビーには誰もいない

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土産コーナーはちゃんと開いている

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またもコーヒーなど飲みつつ時間つぶし

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本日のフライト一発目

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時間通りに離陸。さらば世界最北の町

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オスロ空港着、40分後にコペンハーゲンに向けて二度目のフライト

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慌ただしくオスを発つと

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昇る朝日を左手に臨みながらコペンハーゲン

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久々のコペンハーゲン

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はぁー着いた着いた

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えーと次のフライトは

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11時5分発。コペンハーゲン空港では4時間近くの時間調整

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お腹が空いた頃合いだがコペンハーゲン空港は世界屈指の高価格空港なので注意

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正午過ぎに漸く首都トーシャウンのヴォーアル空港に到着

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街へのバスは一時間に一本、14時5分のバスまでまたも時間つぶし

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ここで朝食兼昼食。1000円のサンドイッチと300円のコーヒー、ここでも高い!









 

北の大三角形の旅(10)2020年3月5日 Longyearbyen 4(氷河の小旅行)

北の果てでスイカを食す朝

翌朝。

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朝焼け 手前の人は人ではなくマネキン

翌朝のスノモツアーは8時に宿の前でピックアップ、それまでに朝食はしっかり摂る

 

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見かけによらず朝食ブッフェの豪華さにヒデキ感激

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まさか世界最北の町で冬にスイカが食べられるとは

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凍てつく北極海を遠くに臨みながらゆるりと朝ごはん

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大分明るくなってきた

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今日も半月
 
そしてスノーモービルツアー8Hコース

朝8時の予定通りに宿の前にワンボックスカーがやって来ると、既にピックアップされている他の参加者とともにまずは街はずれのスノーモービルターミナルまで移動。参加する6名はそこで引率のガイドから今日のルートの説明を受け、防寒具一式に着替える。ブーツ、ボディスーツ、グラブに機動隊のようなシールド付きヘルメット顔面を覆うバラクラバまで上から下まで一式貸し出して貰えるので安心。マイナス15度の中を疾走するのに衣装は自前でとか言われたらとても無理

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出発前にガイドからスノーモービルの操縦の簡単なレクチャー。ギアはATなので基本はアクセルとブレーキのみの操縦は頗る簡単。しかし最近スノーモービルの飲酒運転が問題になっているので時々警察の取り締まりがあり、したがって免許証は必携とのこと。国際免許証の準備などなかったので少々慌てたが、「別に国際免許でなくともええんやで、自分持っとる免許証でええがな」とかこの辺のアバウトさはよく分からない。取りあえず免許証は持参しておこう

 

 

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マシンチェック

乗り物と見ればマシンチェック。LYNX社のXTRIMというスノーモビルで排気量600ccということは外装から見て取れたが、ノーズのBRPマークにどうも見覚えがあると思ったら、今世話になっているバイク屋で扱っている三輪車カンナムについているのと同じマークであったりする。つまりカンナムもリンクスも同じBRP傘下のメーカーであると

 

jp.brp.com

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前輪ならぬ前ソリは何とダブルウィッシュボーンを奢っていて路面追従性は良さそう。なお、荷台を曳くインストラクターのマシンはステッカーから察するに1200㏄のエンジンを積み、遥かに強力な動力性能を持っている感がぷんぷん、よく見ると釣り竿のように無造作にライフルが突っ込んであるのが街の外の危険さを伺わせる。

 

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出発

行程はガイドの決めた順番で一列縦隊で進む。
自分の位置はガイドに次ぐ二番手とされたが、出来ることなら最後尾が良かったなと。

 

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大型トラックとすれ違うように出発

走り出してみるとスノーモビルは強烈に楽しい。アップライトな乗車姿勢は膝の曲がり具合も含めまさに自分が乗っているバイクと同じような感じで全く違和感がないし、防寒着とフロントシールドとグリップヒーターで強烈な寒さの中でも実に快適。調子に乗ってスマホ動画を取っていたら流石に「自分スマホ撮りながら運転したらあかんで」と叱られる

 

vimeo.com

 

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ホッキョクグマは姿が見えず、代わりにトナカイの一群に遭遇

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餌があるのか?

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雪の白と影のグレー、空のアイスブルーしか見えない世界をただ進む。地形から察するに氷河の上を走行しているらしい

 

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1時間走る毎に10分程度の休憩をはさむ
 
凍った滝

4時間進んで正午頃、出発前のブリーフィングで説明された折り返し地点の凍った滝に到着、20分休憩

 

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こちんこちん

 

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裏に回ってみる

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凍った滝の裏側で、この旅の自分への土産として石ころを拾いポケットに入れる。

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氷原のランチ

帰路はランチから始まる。ガイドはそれまで引いていた貨車の蓋を開け、中から人数分のランチにお湯、コップにワインを取り出す。

「今日はキミらに豪華ランチを振舞うでー。ほらこれや、これはノルウェーで一番豪華なインスタント食品やで」

といいながら取り出すのは多分あれだ、TDLジャングルクルーズの船長と同じ定番トークだ。言い慣れてる笑

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ほなこの辺でお昼にしよかー

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はいはい並んで並んで

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確かに具は豪華

食後にワインを飲んで一息つく。スノーモービルの飲酒運転の取り締まりとかどうとか言っていたような気がするが、多分コップ一杯程度のワインは飲酒運転のうちに入らないのだろう。多分

 

 
帰路も白と青とグレーの世界

帰路でもところどころで小休止をはさみ地形の説明。青い氷は空気を含まないから青く見えるとのこと。へー

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風の音以外何も聞こえない

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白い氷と青い氷、青い氷は空気を含まない古代の氷

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圧巻のブルーアイス

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サイズは軽自動車くらい

行きも帰りも巡航速度は時速40㎞ほど。スノーモービルの操縦にも大分慣れてきた帰路、ガイドとの間をわざと空けてから一気にアクセルを煽ってみると時速90km/hは軽く出た。これは面白い乗り物

 

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いい化石が取れそうな地層
 
ベースに帰還

8時間の行程を終え日が暮れる頃ターミナルに帰還、その前に小高い丘の上に一気に駆け上がって月を見ながら最後の休憩。その際に後続の一台が横転という小アクシデント、楽ちんではあるがぼーっと運転していてOKな乗り物ではないのね

 

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綺麗なハーフムーン

 

 

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町に戻ってきた

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最後はガソリンを給油し駐車場にスノーモービルを戻し、ターミナルで再び服を着替えてまた一人ずつ宿に送り届けてもらって無事終了。いや面白かった

 

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コロナ自粛明けの弾丸朝食ツアー

我が家の抵当権を抹消出来たところで、若干自由になった資金を元に手に入れたのは新たな遠出用の相棒。故障続きの20年来の相棒をこれまでのように遠出で酷使するのは憚られるためだが、もう一つの理由としては身体が動くうちに大きいバイクに乗っておこうという。些か年寄りじみた発想だがこちらの方が理由としては大きい。
街乗り用でなく(それ用のバイクは既にある)専ら遠出専用なので、重視したのは長距離を一気に駆け抜ける快適性と積載性。なのでお洒落に振ったカフェレーサーや大パワーに腕立て伏せポジションのSSでなく、そこそこの出力に快適なポジションとシート、そしてしっかりとした風防を装備したADVバイク*1を選ぶ。そしてこれは余りいじらずにほぼノーマルで乗る予定。いじるお金があったら維持費とガス代、あとは金食い虫の四輪に回したい。

かくして始まった十輪生活だが、慣らしを終える前にコロナ禍に突入してしまい長らく跨る機会もなかったところ、7月に入り漸く非常事態も解けたところで慣らしを一気に終えてしまうのと名古屋在住の友人に旅の土産を渡す目的で名古屋コンパルに朝食を食べに行こうと思い立ち、夜明け前に出立し一路東名を西へ。

驚くことに東名下りで全くバイクを見かけない。余りに見かけないので東名バイク走行禁止にでもなっているのかと不安になるほど。途中立ち寄ったPAでもご覧の通り

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バイク駐車場を独り占め

勿論そんな指示は出ておらず、コロナがそれだけ警戒されているということに他ならない。ともあれ無事名古屋入りし、待ち合わせのコンパル今池店に到着。

 目的のモーニングを食べ、

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まだ空腹が収まらない勢いのままエビフリャーサンドを追加。

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絶品のエビフライサンドを堪能し友人に土産を渡すと、名古屋滞在一時間足らずでまた東京にとんぼ返り。


さて新しい相棒はというと、往復700kmほどの旅程をほぼ一気に走破しても大した疲労もなくその点は合格点。だが道中でシフトペダルが外れ(!)ギアチェンジ不能に陥ったのは全く持っていただけない。21世紀になってもイタ車品質は相変わらずなようで

 

*1:四輪は今の相棒のようなピュアスポーツであっても正しいポジションを取れば長距離でも疲れず快適にドライブすることが出来るが、バイクはその点で全く違う。ピュアスポーツバイクのポジションとシートなどとても長距離に耐えられるものではない

北の大三角形の旅(9)2020年3月4日 Longyearbyen 3(ホッキョクグマの幻影に怯えながら遠景)

在宅勤務から出社頻度が増えつつある昨今、朝起きてから夜寝るまで仕事という超絶ブラックなリモートワーク環境を脱出してやっと出社ベースに戻れそうなのでほっとする。やはり家は働く場所ではない。まず働く用の椅子がない*1から身体にかかる負担からして半端ではないし。という訳で、毎日へとへとで土日は体力回復に努めるのが精いっぱいの2020年の夏も終わり、体力をガリガリ削り取るリモワの頻度も下がってきて漸くブログに手を付ける余裕も出来てきた次第。

 

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町の夜景を撮影してみたいと思い立ち、スーパーを出るとすっかり夜になったロングイエールビーンの町外れの丘を目指して歩きだす。町の灯が徐々に遠くなり、背中から照らす月明かりのみを頼りに、長く伸びた自分の影を追うようにして道なき雪の丘を膝まで沈みながらゆっくり上る。

この辺でいいかと丘の中腹から遠くの町を臨む。人間どころか建物も木も岩も何もなく、時折吹き付けるザラメのような雪交じりの風以外には全く音もしない雪の斜面に自分一人だけが月明かりに照らされて座っている。
どれくらいそのままぼーっとしていたのか分からないが、そうだ撮影をしなければとふと我に返って三脚を取り出しながら気が付いたのは、ここは人間よりホッキョクグマの方が多い島だという事実。
吉村昭羆嵐グリズリーマンの最期(超閲覧注意)を知っている身としては熊の恐ろしさについては重々知っているつもりではあるが、ホッキョクグマは更にでかくて恐ろしいんだよねえ確か。地上最大の肉食獣じゃなかったか

 

羆嵐と同じ事件を題材にした番組

 

クマ牧場の丸々と太って人馴れした熊はおどけた仕草が可愛らしいが、実際の野生の熊ってこんなんだからね

 

 

町外れとはいえさすがにこんなところまで来るはずはないと理解はしていても、出ないはずの札幌の区内にヒグマが出た報道などを同時に思い出し、ひょっとしたらという疑念と恐ろしさが膨らんでくる。少なくとも札幌にヒグマが出没する確率よりロングイエールビーンの街はずれにホッキョクグマが出没する確率の方が遥かに高いだろうし、何しろ見渡す限り動くものは何もない雪原のことだから、万一のことがあったとしても叫ぼうと騒ごうと誰も気づきはしない…

恐怖にはいろいろな種類があるものだが、「喰われる」という生物の本能にダイレクトに訴える恐怖には格別のものがある。羆嵐の中での被害者の夫の呟き「おっかあが、少しになっている」みたいなことになったら嫌だなあ、嫌だなー嫌だなーなんか怖いなーと稲川淳二のようにぶつぶつ呟きながらファインダーを覗き、ズームでぐいっと寄せると、10秒に合わせてシャッターを切る。シャッターボタンを押してからシャッターが下りるまで息を殺し待機しながらも、背後からあの荒々しい息遣いが聞こえてくるのではないかと気が気でない。

 

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凍てつく夜に凛として輝く月明かりが綺麗に取れたのを確認したところで、大急ぎで機材を片付けてさあ撤収撤収。帰りは転がり落ちるのが楽で速いよ!

*1:仕事用の椅子を買えばいいといってもちゃんとした椅子は10万円は下らないし、それ以上に場所を取るのが大問題。仕事以外では使い道のない(デザイン的に使いたくもない)椅子を収納できる物置きは我が家にはない訳で

北の大三角形の旅(8)2020年3月4日 Longyearbyen 2(世界最北の町歩き)

まずは明日の計画を

Mary Ann's Polarriggの26号室のベッドに身を投げ、スマホを宿のWi-Fiに繋いでしばし翌日の計画を立てる。
オフシーズンとは言え冬には冬のツアーがあるもので、メジャーどころは犬ぞりツアーとスノーモービルツアー。犬ぞりは犬選びから始まり、自らがマッシャーとして犬を操りながら行程を走破するという本格的なもの。最高時速40㎞ほどにもなるそりの後ろではずっと立ち通しで手綱を操り、横転も珍しくないというハードさに大いに興味をそそられたが、生憎どのツアーも満員御礼。仕方がないのでスノモツアー8時間コースに申し込む。こちらの方がやや高いが、行程も犬ぞりよりずっと長い。これはこれで楽しめるかもしれない。

町の中心部へ

明日のプランが決まったところで地図を確認し宿を出る。低い軌道を回る太陽は既に西の彼方に沈みかかり、西日に照らされた雪山が海の向こうに広がっているのを左手に見ながら、海に面した道を町の中心部へ向かう。

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門をくぐって外に出る

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目の前は北極海

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宿の前のパノラマ・左

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宿の前のパノラマ・中

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宿の前のパノラマ・右

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機内から見たのと同じ半月が
世界最北の研究センターと世界最北の博物館

北極圏の地質学や生物学などの研究機関であるスヴァールバル大学センターに併設され、スヴァールバル諸島の昔の暮らしぶりなど貴重な資料を見学できるスヴァールバル博物館は残念ながら既に閉館。冬季なので閉館が早く、宿でゴロゴロするのが長すぎたと臍を噛んだが後の祭り。次来た時にきちんと見に行こう(え?)

 

世界最北のスポーツショップ

こんな北の果てまで来て(恐らく空港内で)手袋を落とすという痛恨のミス。ずっとポケットに手を突っ込んだままという訳にもいかないので現地で調達する他はない。RPGに出てきそうな建物自体がまばらな町なので目指す店はすぐ見つかり、無事防寒手袋を購入。飲食費は物価高が異常なノルウェーだが、アパレルの価格帯は日本とほぼ変わりないのがせめてもの救い。

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店の前から来た道を振り返る

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世界最北の銀行と世界最北の郵便局

店を出ると更に歩いて町の目抜き通りに到着。東京でいえば銀座中央通り、パリでいえばシャンゼリゼ、NYでいえば五番街、が

これ。

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どどん

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さらにどどん

建物はほぼ木造で二階建て、ここでもRPGのように一目でそれと分かる施設が左右に一個ずつ並んでいる可愛らしいメインストリートを歩くと、下手に銀行と郵便局の立て看板を見つける

 

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入口の左手に郵便局、右手に銀行

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郵便局は終業!

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銀行も終業!
世界最北の土産屋…は幾つかある

通りに並ぶ土産屋に入って品揃えを確かめる。土産の価格は日本より高め

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やはりというか土産も毛皮類が充実

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世界最北のミネラルウォーターは土産によさそうだが機内に持ち込めないから無理か

取っ手がホッキョクグマ形にくりぬかれた木のヘラが土産としては手ごろ。一本手に取ってレジに向かうと、店番のおじさん曰く普段はこんな最果ての町にも中国人観光客は大挙して押し寄せ、バスで乗り付けては大変賑やかに買い物をしていくのだそう。

「今はコロナ禍でぱったり客足が途絶えているけど」と言ってから少し声を落とし、
「ところで中国人をどう思う?」
「集団になると大変に騒々しいね」と返すと得たりとばかりに
「だろ?もう本当に大変なんだよしかもあいつら値切るしさあ」とぼやくことしきり。まあ日本人も似たようなもんだけどと内心呟きながらも、しかし世界に悪名を馳せた80年代の日本人観光客団体もこんなところまで来ることはなかっただろうと思うと中国人のバイタリティには素直に感心する。

 

世界最北のスーパー

土産屋を出ると、既にとっぷりと日が暮れてしまっている目抜き通りをさらに歩き、この町で唯一のスーパーマーケットに入ってみる。

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なんとCOOP

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入口から想像できないほど店内は広い

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ここでもホッキョクグマがお出迎え

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キャンドル使いが日常に溶け込んでいる北欧、さすがの品揃え

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スーパー兼ホムセンといった感じ。とにかく広い

 

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恒例の物価チェック。レタス一玉550円

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白菜もインゲン豆も500円

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白身魚の切り身パックは1㎏くらいでおよそ2000円

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スピッツベルゲンと書かれたご当地ビールは妙に安く一本200円

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COOP謹製のサンドイッチは600円でサラダボウルが2400円!

 

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スーパーを出るとすっかり夜

この他に世界最北の病院なども見て一通りの世界最北巡りを終える*1と、雪の中を町はずれを目指して歩き始める。
今晩はもう一つミッションがあるのだ

 

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遠くに見える教会のそのまた先へ

 

 

*1:そういえばこの町には世界最北のトヨタディーラーがある

怪談・幽霊新幹線

直前になって百合子が何を言おうともう遅い。
不要不急の外出は控え?いや要があるから外出してんだよこっちは。

という訳で今年も墓参りを敢行したものの、往復で乗車した新幹線がヤバい。
何がヤバいって、指定席の一両に二人しか乗客がいないくらいヤバい。
さすがにこんなに空いた新幹線に乗るのは生まれて初めてのこと。あまりに乗客がいなくてまるで幽霊船のようだ。GDP27.8%減を象徴するかの光景に思わずぞわっと総毛立つ。

 

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回送便?

いやーさしものJRもこれでは赤字も赤字の大赤字だろう。
さすがにJRが潰れることはないだろうが、壊滅的な経済の後退が今後どのような形で我々の社会を直撃するかと思うと背筋を冷たいものが走るのを禁じ得ない。

これがこの夏一番背筋が冷たくなった怪談話。

 

北の大三角形の旅(7)2020年3月4日 Longyearbyen 1

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北の大三角形の二角目に向かう

Lonhyearbyen、ロングイエールビーン。北極点からおよそ1,300km、つまり北極点が東京とすればロングイエールビーンは福岡くらいの位置関係であり、ホッキョクグマがそこら中にいるので銃を携行せずに町を出ることは禁止されているという世界最北の町*1スヴァールバル諸島最大の町でもあり、人口およそ二千人。

春はまだまだ遠い3月初めにこのような街を訪れようという物好きたちが、これ。

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そしてこれ。

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コロナ禍で一足早く中国人が出国禁止になっていた時期だったこともあり、乗客に東洋人は自分ひとり。フライト時間はおよそ二時間、それではレツゴー

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今日のオスロ氷雨

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当たり前だが雲の上は常に晴天

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ほぼ半月

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雲をくぐると

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また雲の海。かと思ったらひたすら雪山

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北極海に迫る雪山を掠めるようにランディング


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ドンという感じで着陸すると雪煙で包まれ何も見えず、ともかく無事ロングイエールビーンに到着。

 

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町の規模にしてはやたら立派なターミナルビル

 

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勿論鉄道が敷かれている筈もなく、空港から町へはおなじみのFLYBUSを利用。レイキャビークと同じく主要なホテルを順に回る路線なので本日の宿を運転手に告げて降ろしてもらうパターン。チケットは車内で購入、勿論キャッシュレス

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空港を出てバスを待つ。およそ30分に1本

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おー来た来た
Mary Ann's Polarrigg

オスロのオペラハウスのフリーWifiからBooking.comで予約した本日の宿はMary Ann's Polarrigg。ノルウェーの物価高はこの島でも例外ではなく、バリバリのオフシーズンにも関わらず一泊一万円で泊まれる宿はここ一軒のみ。専ら宿泊料のみで決めたので、中心部からやや外れた場所らしいことを地図で確認した以上の情報はなし。どんなところなのか…

 

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周囲に宿はなし

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ここやでーと降ろされた場所

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確かに看板は出ているが…

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廃バスやらトナカイの頭骨やら転がってるし

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すごい外観だなおい

なんというか、物凄い個性派の宿に到着。北極圏スタイルで玄関で靴を脱いで上がることもあり、内部は中学生の頃に泊まった懐かしのスキー民宿のような佇まい。

 

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この島では靴を脱ぐのがしきたりよーという黒板

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スキーの宿みたい

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ホッキョクグマの剥製が突き出る廊下。こういうノリが好きなのね

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普通に民宿だね

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なんかよく分からんがパフォーマーらしい

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各部屋の扉にはなぜか裸の男のパネルがかかる

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自分の26号室の扉。裸のおっさんに何かこだわりでもあるのか

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正しくスキー合宿の趣。シャワートイレは勿論共同

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便器はグスタフスベリ!日本に持って帰れば好事家に高く売れそう

 

さて一休みしたら世界最北の町歩きに出かけよう。

 

*1:単に人間が居住する地域はこれより北にも存在するが、警察や病院や銀行やスーパーや郵便局など生活インフラの整った「町」としては世界最北