カサエゴ

Casa Egoista (定員一名の小さな家)

やってこない「いつか」

スマブロの「今週のお題」が少し興味深いので、ここは一つ村上春樹風に答えてみる。



「いらなかったお部屋、使っていないスペースってある」
と彼女は抑揚のない声で訊ねた。


やれやれ、ピーナッツバターのようにありふれた質問じゃないか?
僕は冷蔵庫からビールを取り出しながら答えた。


「1DKの一軒家にそれがあると思う?」


回答終わり。


家を大きく作るにはその分建築費がかかる。
土地もより広く必要だ。相応に土地代も嵩む。
取得金額が高ければ税金も高くなる。
維持費も多くかかるし維持する手間も余計にかかる。

要するに何かとコストがかかる。
しかし独身の男が家を買う場合、ついつい「いつか将来結婚した時に」備えて、というか備えたつもりで過剰なコストを掛けてしまいがちだ。
一人暮らしなのに3LDKとか、自分の身の回りでも幾つか例がある。
で、いつ来るか分からない「いつか」に備えてせっせとローンを払って空き部屋だらけの家を維持し続ける訳ですね。いじましいですね。

しかしただ広くて空きが多いだけならともかく、その分上記の通り余分なコストは確実に発生しているわけで、それを勿体無いととるか必要経費の前倒しと取るかは人それぞれかもしれないが、自分としては空き地にローンを払うのはやはり馬鹿らしいなと思ってしまう。
手狭になったらその時はその時で考えればいいのではないだろうか。
というか経験則でいえば、一人暮らしで家買ってその後結婚できた男は少ないし※1、運よく結婚できても結局は家を買い換えたりしているのが大半。

まあ男目線と女目線では住む場所の選択からして異なってくるし、余程住環境に無頓着な女性か依存心100%の女性でもなければ男のにおいが染み付いた家※2に転がり込んでそれでよしとは思わないだろう。幾らかでも貯蓄があれば、それを拠出してでも買い換えてまっさらな新しい家から新生活をスタートしたいのに決まっている。


という事はやはり単身者の男が無駄に広い家を買うのはどう転んでも無駄ですね。
どっとはらい


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※1 そこまで行くとなんかもう「出来上がっちゃった」感がするらしく、そういう男は女からは確実に引かれる。そちら方面に未練があるなら家買ったつもりでせっせと貯蓄に励み、住まいは賃貸で我慢しておきましょう。
※2 荒川区の3LDKより目黒区の2LDKに住みたいだろうし。購入した男には新築の記憶が鮮やかに残っているかもしれないが、女にとってはインテリアの趣味からタオルの位置までなんだか自分の趣味に合わないただの中古住宅に過ぎない。そんなもんさー