カサエゴ

Casa Egoista (定員一名の小さな家)

2月25日 Kraków

夏は嫌いなのに暑くなるほど体調がよくなるこの不思議。
そういえば夏風邪は中学生以降ひいた記憶がないし、噂に聞く夏バテも未だ体験したことがない。夏バテって食欲落ちて痩せる事?全然痩せないどころか下手したら太るからなあ
認めたくないがこの高温多湿不快指数100%の環境が実は身体に合っていると言う事なのか。確かにこれだけ湿度が高ければ喉を痛める恐れはないが

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英語発音ではクラコーとなるポーランド第三の大都市クラクフ(óはUで発音する)は、17世紀にワルシャワに遷都するまではポーランドの首都であった古都。映画ファンにはシンドラーのリストの舞台となった街として、カトリック信者にはヨハネ・パウロ二世の出身地として、WWⅡ独軍オタには悪名高い髑髏の軍団、第三SS装甲師団(トーテンコップ)の本拠であった街としても有名。

長らく首都であった古都であり、戦争で焦土と化した国土の中でも奇跡的に被害を免れて貴重な文化財が保存されているなど、日本における京都との共通点は多い。尤も戦火を免れた経緯は全く違い、強力なSS師団を擁するクラクフがイガグリなら京都はショートケーキの苺※1という対照的な理由でそれぞれ最後まで手をつけられなかったと。


新市街から旧市街を望む
旧市街入口前のバルバカンと呼ばれる円形の砦は大変貴重な旧跡らしい。周囲には濠
旧市街入口

緯度の高い欧州では冬の陽は釣瓶落としヴロツワフ出発から5時間、クラクフに到着する頃には既に陽は大きく西に傾き、宿に荷を置いて街に出ると程なくして夜が訪れる。博物館や美術館あるいは各種観光施設は冬季は閉鎖しているか、開いていても16時にはクローズしてしまう。シーズンオフに旅するデメリットはこれ。



クラクフ城地下の墓所は有名な心霊スポットらしいのだが開館時間には間に合わず。残念


破壊を免れたシナゴーグ
クラクフの旧ユダヤ人街は大学に近く、つまり行きかう学生が多く、若者向けのカフェやバーが並ぶオサレスポットと化している。ふらりと入ったオサレカフェで「イズラエル・スタイル」とメニューに記されたコーヒーを注文してみると、トルココーヒーのような銅のポットに入った、やたらとシナモンくさく妙な甘味がついたコーヒーが出てきた。飲む。うーんマズイ



イズラエル・スタイル」コーヒー

そしてカフェを出たあたりで突然、懐刀のニコンDfがぶっ壊れる。厳密にはまずAFが合焦しなくなり、レンズの故障かと思って付け替えたりしている内にとうとうシャッターが下りなくなる。
明日にはオシフィエンチムに行く予定なのに何と言うことか。遠いクラクフの街にニコンショップがある訳もなく、万事休す。残りの旅路はiPhoneだけが頼りとなってしまうのか…

間違った日本趣味 
メーカー不詳の商用バン

突然動かなくなったカメラに悪態をつきつつ駅まで戻る。
本日最後のタスクは、駅隣にあるバスステーションから出発するオシフィエンチム行きの長距離バスの時刻表を確認する事。カメラが動かなくなろうと、限られた日程を無駄に費やすわけにはいかない。
予定通り明日行こう

最近リニューアルされたクラクフ駅は垢抜けない近代的なショッピングモールと一体化している

長距離バスステーションはクラクフ駅に併設
オシフィエンチム・ムゼウム行きのバスに乗る。夕刻には閉館する事を考慮すると実質的に一日三便

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※1 「米国人は京都の文化的価値を理解していたから空襲の的から外したのだ」という我々の耳に甘美に響く俗説には残念ながら何ら根拠がない。史上初めて使用する原子爆弾の効果を正確に測定するためには「破壊されていない大都市」が必要で、京都はそれにうってつけであったというだけの事。投下直前までターゲットの筆頭は京都であった事は紛れもない事実。