カサエゴ

Casa Egoista (定員一名の小さな家)

漆喰左官(1)初戦敗退

漆喰と下地シーラー、鏝に鏝板が揃った十月の三連休に壁塗りを実施。
まず家具をどかして養生を行い、現在の漆喰壁にシーラーを塗布して下地を整える…
…そういえばローラー塗りを行った際にはシーラーを塗らずいきなり漆喰を塗り付けていた。シーラーは食いつきを良くする為だけでなくアク止めの為にも必須であり、これを塗らずにいきなり合板に塗れば必ずアクが浮いてくるし、石膏ボードはアクがでない代わりに表面の紙がアルカリで侵されて紙ごと剥離してくる恐れもあるという。幸いそのような事態には至っていないが、当時はその重要さに気づかないまま一気にローラーで塗ってしまったのだから無知とは恐ろしい。
シーラー乾燥後二日以内に塗るようにとの注意書きにしたがって翌日に着手。まずは一階の北側の壁、玄関の手前までのおよそ4.5mの壁に8kgの漆喰「白土」を塗る…

妙に変だなー。おかしいなー。

思わず稲川淳二のような呟きが漏れる。
練り済みの漆喰は思ったよりずっとゴリゴリと硬く鏝で押し広げようにもなかなか伸びず、施工性は最悪。
更に漆喰は壁に塗りつける端からどんどん乾いていってしまう。乾いたらそこでおしまい。
何だこれは。
頭にクエスチョンマークが無数に浮かびながら悪戦苦闘すること七時間、塗る予定の面積の三割ほどを残したところで漆喰が尽きる。
これはまずいな。
気を取り直して二階の北壁7.7mに漆喰「薄墨」10kgを塗る。一階の悪戦苦闘がここでも寸分違わず再現され、おかしいなー変だなーと稲川淳二の口真似をしながら八時間もかけて格闘した挙句、壁面の六割程を塗ったところでやはり漆喰が底をつく。
これは大いにまずいな。
振り返れば眼前に広がるのはつぎはぎだらけでボサボサな表面の、塗り壁の味というには余りに酷い仕上がりの洞窟のような壁、それも中途半端な場所で終わっていて…
見事に失敗だ。これをどうすればいいか…いや慌てるなとりあえず一時撤退で対策を考えよう。ていうか疲れた。寝る