カサエゴ

Casa Egoista (定員一名の小さな家)

ホテルライクより老舗旅館ライク

最近やたらと目に付く「ホテルライクなインテリア」という謳い文句。
大抵は「憧れの」という枕詞がついていたりする。そうなのか。憧れなのか。
ホテルライクなインテリア。知ってるよ。
壁には白い瀟洒な柄の壁紙とウェンゲの合板、洗面所にはキラキラしたモザイクタイルにこれまたウェンゲの洗面台に置き型の洗面器にピカピカのグローエの水栓。床は落ち着いた柄の毛足の短いカーペットかダーク色のピカピカの合板フローリング、天井埋め込みのダウンライト、ベッドサイドに間接照明。
この辺りをおさえればホテルライクなインテリア一丁あがり。とりあえず高級感あふれる(んだってさ)ウェンゲの合板を多用すればホテルライクらしき見た目にはなるので、ホテルライクな家を建てたい方はとにかくウェンゲウェンゲお洒落なウェンゲと唱えていれば間違いないでしょう。ていうか最近の高めのマンションの内装もこんなのばっかだし。流行ってんだね

高級感あふれるホテルライクなインテリアもそれはそれでいいものだけど、自分が憧れるのは寧ろ老舗温泉旅館のような内装。古びていて決してピカピカではないが、見れば見るほど本当に惜しみなくコストを掛けて作られているのが良く分かる。綺麗な合板一枚べーっと張っておしまいにしている場所なんかどこにもない。張りぼてではない本物の素材だけが長い時を経て醸し出すいぶし銀の艶。

向瀧
向瀧 天井も手抜かりなし。蛍光灯カバーもいい感じ
向瀧
金具屋 これだけ幅広で木目が見事なパインフローリングなんか今日日なかなかお目にかかれない

もちろん予算と戦いながら完成した我が家は惜しみないコストを投下して作られたこうした本物の日本家屋とは比べるべくもないが、古くなるほど愛想を尽かされる家ではなく、古くなるほど魅力が増す家には少しでも近づきたい。あれこれ手を掛けるのはその為かもしれない。自分でやればタダだし。
使い込むほど味の出る木の床もきっとそれに寄与してくれる。あ、ちなみに杉の床とウェンゲの合板は相性最悪なんで。