カサエゴ

Casa Egoista (定員一名の小さな家)

漆喰左官(5)すさの効果はいかに

一回目、散々な目に遭う。二回目、落とし前をつける。三回目、余裕。
とは矢沢永吉の言葉だが、この言葉を辿る様に二回目で何とか終了した我が家の内壁左官
ならば「三回目、余裕。」まで忠実になぞらなくては。という訳ではないが、施工の後に面白い素材を見つけたので試してみたくなり、三週間ぶりに鏝を握る事とする。


塗り壁とともに繊維を塗り込むと強度が増す事は古くから知られていて、このまぜものをすさと言う。
伝統的なすさは藁。しかし藁すさは褐色。よって壁を白くしたい場合にはやや不向き。だが今は、白さを損なわない化学繊維のすさも出回っている。
今回試す「ダイヤウォール」はナイロン繊維のすさ、見た目は丁度ナイロン紐を細かくばらして細切れにしたような感じ。これを混ぜれば塗り壁の宿命であるクラックが発生するリスクは大分軽減され、また元から白いので白壁にも向いているというのが売り口上。
こういういいものがあるなら三週間前の工事でも使いたかった。知るのが少し遅かった。
強度が増すのはいいが、仕上がりや施工性はどうなのかも比べてみたい。という事で、一階DK奥、西側の窓の上の壁をこれを用いて塗ってみる事とする。

ビニールで養生してー
シーラー塗ってー
左官工事は水工事、家が水浸しにならないよう、大型のビニールシートで念入りに養生する。
なおホムセンではなかなか手に入らない工事関係の素材を調達するのにMONOTAROは大変重宝する。鉛筆一本からガスマスクまで何でも取り揃えているので、顧客登録すると勝手に送ってくるカタログを眺めているだけでも楽しい。今回の一連の左官工事にあたってはここから鏝板と養生シート※1、マスキングテープを購入。

練る練る練る練る練る練る
追加で取り寄せたHip漆喰「白土」4kgの蓋を開け、少量のすさを加えてひたすら練る。
途中ですさを追加し更に練る。
なお漆喰を練るのには百均のお玉が遠慮なく使い捨てできて便利だが、先端が樹脂で出来ているタイプの方が丈夫なのでお勧め。一見丈夫そうな総ステンレス製のお玉は漆喰の堅さに負けてぐんにゃり曲がってしまい使い物にならないので注意。役に立つのかこの情報

すさを加えて練るうちに柔らかくなった漆喰は、すさの繊維の効果でやたらに粘度が高い。
通常の漆喰がクリームなら、こちらは納豆。
納豆をかき混ぜる魯山人よろしく練りに練った漆喰をお玉で掬って鏝板に盛り壁に向かうが、粘度の高さゆえなかなかスムーズに伸びず、鏝じまいが悪いというか、明らかに鏝の切れが悪い。
(つい一月前はひいひい言っていた素人が「鏝の切れが」とか一丁前な事をのたまうあたりが「三回目、余裕。」笑)

今回の作業は二時間、使用した漆喰は3kg。余った漆喰は百均のタッパー風ケースに詰めて密閉保管
塗り終えて総括すると、すさを追加する事で施工性だけでなく仕上がりもそれなりに劣ってしまうのは避け難いところ。何とか均そうとしたが表面は結構ボコボコ、いくら鏝押さえを繰り返しても艶は出ない。目に付きにくい狭い壁だからよかったようなものの、これで大壁一面を塗るのはそれなりに大変だったろう。
完全に乾ききった後も、壁の白さはやや劣るように見える。白いすさとはいえ、やはり混ぜ物をすると漆喰本来の白さは少し損なわれてしまうのかもしれない。ていうかよく見たらこのすさ微妙にグレーがかってるし(画像一枚目)。

強度とクラック予防を取るか白さと仕上がりを取るか、あちら立てればこちらが立たず。大きな地震でも発生すればすさ混ぜといて良かったねとなるかもしれないが、勿論何があっても絶対にクラックが入らないと保証がある訳ではなく、逆にすさを追加しなかったからといってバッキバキに割れるとも限らない。ここは考えどころ。
現時点の自分の結論としては、
「三週間前にこれを知らなくて良かったね」
どっとはらい


______________________________
※1 一ロール購入して殆ど余った養生用ビニール、欲しい方いたら差し上げます