カサエゴ

Casa Egoista (定員一名の小さな家)

サバイバルライフ アズ ツーキニスト

帰宅途中の麹町付近の裏道。ライトに照らされた前方に白い自転車が浮かび上がる。
反射するリフレクターのパターンで警官の自転車であると分かる。はたしてゆっくり漕いでいるのは制服姿の巡査(だか巡査長だか)。
重い自転車でちんたらちんたら走る警官。こちらは帰路を急ぐロードバイク
後方からぐんぐん接近すると普通に右側から追い抜く。
と、その瞬間にまさかの転回開始

心臓が喉から飛び出そうになりながら、後方確認もせずにいきなりUターンを始めた警官を辛うじてかわす。間一髪(髪の直径は0.1mm前後)というほどでもないが間10cmは確実に切っていて、0.1秒反応が遅ければ間違いなく大事故になっていたところ。

(漫画やドラマでよく見られる「あーあぶなーい!」なんていう声は出ない。人間、本当に危ない時はそんな声を出す余裕などありはしないのだ)

さすがに頭に血が上り、こちらもUターンして追いかけると人目も憚らず大声で叱り付ける。誰がどう見てもどちらが悪いかは明らかなので、サーセンサーセンと平謝り。それでも全然気は済まないけどね。相手が相手だけに、事故になっていたら極めて不利な立場に立たされていたであろうことを考えると余計に。


朝に晩に東京の街中を走り回ること四年余り、八千キロを経て辿り着いた結論は、東京の交通マナーはつくづくクソだということ。
自動車も、自転車も、歩行者も。
警察官にしてこのザマで、しかもこんなのはほんの一例。逆走警官なんか珍しくもなんとも無いし、都内の人身事故の10%はタクシーが起こしているという驚くべきデータも、毎週のようにタクシーの信号無視を目撃している身としては全く驚くに値しない。


テスタロッサ(通勤快速号)のステムに取り付けているライトは1300ルーメンという殺人的な眩しさを放つ、極めて強力なフラッシュライト。前を行く人は振り返り、すれ違いざまに「眩しいぞー」と文句を言われたり対向車からパッシングを受けたりすることも偶にある。
それも仕方ない。一面では、それこそ狙い通り。なぜなら文句をつけるということは確実にこちらの存在を認めているということだから。
甚だ不本意なことではあるが、そのようにでも考えを割り切らなければ、この洗練さの欠片もない、野蛮そのものの東京の路上でツーキニストが生き残ることは到底覚束ないのだ。