カサエゴ

Casa Egoista (定員一名の小さな家)

甘い生活

いちおう家ブログなので久々に家ネタを。

持ち家か賃貸かの議論に終止符を打つとして書かれたこの記事。

庶民は家に甘い夢を見ず徹頭徹尾投資対象として見るべきだ。米国を見習え

一行で要約するとそういった内容。

数えきれないほど繰り返されてきた持ち家か賃貸かの論争は専ら損得勘定ばかりで、この人たちにとって家は全て同じで雨露さえ凌げればなんでもいいと思っているのか、自分の好きなように仕立てた家に住むことで得られる精神的充足やQOLの向上などを考えたことはないのか(都内で言えば家賃15万円で住める家と月々15万円のローンで買える家のクォリティは全く違う)と常々違和感を覚えていたのだが、この書き手はそんなものに売却差損に吊り合う価値は全くないと言い切る。

ここまでドライに金勘定だけに特化した意見は違和感を通り越して清々しささえ感じさせるが、世の中の皆が皆これに同調したなら所謂ハウスメーカーは軒並み全滅で金太郎飴のような建売住宅ばかりが立ち並ぶ荒涼とした街並みになり、S氏を始めとした建築家と呼ばれる人々は枕を並べて廃業の憂き目にあうこと必定。彼に言わせれば自分のように建築士に依頼してまで一人暮らしに特化した家を建てて床はウォルナットだ壁は漆喰だここにイペのウッドデッキだなんて生活に楽しみを見出そうという輩は甘っちょろいこと甚だしいのだろう。そもそも拝金主義の極北である米国のライフスタイルをお手本にしろという点からしてこの書き手とは到底分かり合えそうもないが(世界を巻き込んだ恐慌の発端となったサブプライムローン問題はそのような価値観が引き起こしたことを忘れてはいけない)、目に見えないQOLの部分を曖昧にせず主張を完結させる姿勢は好感が持てる。主張として確かに筋は通っているので拝聴の価値はある。同意しないけど。