カサエゴ

Casa Egoista (定員一名の小さな家)

おろしや国一週間(15)2016年12月17日 サンクトペテルブルクその4

エカテリーナ宮殿へは現地ツアーに申し込むのがおすすめ

パリを訪れた旅行者が日帰りでヴェルサイユまで足を延ばすのと同様、ペテルブルクへの旅行者が何はさておき訪れるのがエカテリーナ宮殿。鉄道駅は通っていないのでバスに乗っていくことになるが、コスト命のバックパッカーであったとしてもここは現地の団体ツアーに申し込むのがおすすめ。各停で迂回しながら現地に向かうより路線バスより直行直帰の専用バスの方が移動に要する時間を大幅に節約できるし、更に入場待ちの長蛇の列となるハイシーズンでは個人より団体の方が明らかに入場の順番で優遇され、ここでも行列時間を大きく短縮できる。時間が幾らでもある余裕のある日程ならともかく、一週間程度のタイトな日程であれば金で時間を買えるならそれに越したことはない。16時を回る頃にはもう暗くなってしまう真冬なら猶のこと。

ということでネフスキー大通りを下ると見えてくるチケット小屋でエカテリーナ宮殿行の現地日帰りツアーに申し込む。とはいえエカテリーナ宮殿ツアーとは書かれていないので、所在地のプーシキン(Пушкин)行のツアーに申し込む。チケット小屋は黄色い三角ビルの手前のこの辺、街歩きをすれば誰でも容易に発見できる。

 

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黄色い三角ビルの手前にあるよろずツアーチケット小屋
冬場のお勧めはロシア語ガイド付ツアー

現地日帰りツアーは海外観光客向けの英語ガイド付きと国内観光客向けのロシア語ガイド付きの二種類あり、それぞれ別の出発時間が割り当てられている。冬場に訪れる旅行者には英語ガイドでなくあえてロシア語ガイドのツアーを勧めたい。理由は時間、英語ガイドツアーは「8時出発の正午戻り」か「14時出発の18半戻り」の時間しかなく、その間の午後のツアーはロシア語ガイドツアーしか選べない。ホテルの朝食も摂らずにまだ夜も明けない時間に出発する朝出発も、現地に到着したと思ったら暗くなってしまう夕方発も冬場の観光には好ましくないので、ここは時間帯優先で正午発のロシア語ガイド付ツアーに申し込むのが正解。ロシア語ガイドが何を言っているかは分からないが、事前にしっかり予習しておけば理解に問題はない。値段も英語ガイド付3000ルーブルに対し2200ルーブルと少し割安。

 

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ロシア語ガイド付ツアーは12時15分発。英語ガイドでは14時発、16時には暗くなってしまう真冬には向かない時間帯


出発時間が近づくとチケット小屋近くに集まってくるツアーバスのフロントガラスに表示された行先を確認してチケットを提示して乗り込む。現地まではおよそ45分、絶えることなく続くガイドのおばちゃんのマシンガントークにうんざりする頃にプーシキン公園に到着。

 

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アーバスのサイズはまちまち、立派な観光バスからマイクロバスから大型ワゴンまで

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道程の45分間、息継ぎ以外絶えず喋り続けるガイドのおばちゃんが中央

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クソ寒そうなプーシキン

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庭園を抜けて宮殿へ

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水色の外壁が雪空に映える巨大な宮殿

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筆舌に尽くしがたい宮殿の説明は割愛。詳しく解説したウェブサイトは幾らでもある

スケール、豪華さともにヴェルサイユ宮殿に匹敵すると言われるエカテリーナ宮殿の壮麗さについては面倒くさいので今更ここでくどくどと述べないが、ヴェルサイユの真の壮大さは東京ドーム何個分かのシンメトリーな巨大庭園にこそあり、その点で同じく巨大ではあるものの庭園の作り込みが弱いエカテリーナ宮殿よりはヴェルサイユに軍配が上がる。宮殿それ自体は両者ともきんきらきんの日光東照宮が質素に見えるほど贅を極めた建築物であり、どちらが豪華で壮麗であるかを比較するのはトラとライオンとどちらが強いかを考えるようなものであまり意味を持たない。ただ18世紀のロシアの国力の強大さに思いを馳せるのみ。小ぶりな体育館ほどのサイズの大広間でエカテリーナ二世に拝謁した大黒屋光太夫は現代に置き換えれば異星で異星人と対面したようなものだろう

 

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そこかしこにある巨大な陶器の塔はもしかして暖炉か

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エカテリーナ二世が着用したドレスにケープ、ワンズ先端の有名なオルロフのブルーダイヤは勿論レプリカ

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壁一面が絵で埋め尽くされた絵画の間

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ロマノフ朝系図関ヶ原の頃の人である初代ツァーリミハイルから大正時代のロシア革命で処刑されたニコライ二世まで

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噂の琥珀の間


エカテリーナ宮殿で唯一撮影が禁じられているのが琥珀の間。文字通り四面の壁面を余すところなく琥珀で覆っちゃったという、秀吉の黄金の茶室が上品に見えるセンスもすごければ独ソ戦の最中に全て壁から剥がして持ち去ってしまったドイツ人の強欲さもすごく、それが未だ行方不明という話もすごければ戦後また元通りに修復したロシア人の執念もすごい、色んな意味で日本人は引いてしまうエピソード満載の一室。室内に撮影禁止の立て看板はあるものの室外からの撮影は特に禁止されていないので、ドアのない次の間からこのような写真を撮るのはセーフ。琥珀の間というから壁面が全て純露のように透明な琥珀(小学生レベルの比喩)で覆われたキラキラした部屋を想像していたが、実際の琥珀の間ではチェルシーのように不透明な琥珀(小学生並の比喩)が多く使われていたので個人的にはやや期待外れ。発想と努力は認める。

 

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宮殿を辞する頃にはもう暗い

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広壮な庭園が広がる屋外

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土産屋台村で売られていた名前メダルは名前読み取りの練習にうってつけ

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帰着する頃はすっかり夜