まずは明日の計画を
Mary Ann's Polarriggの26号室のベッドに身を投げ、スマホを宿のWi-Fiに繋いでしばし翌日の計画を立てる。
オフシーズンとは言え冬には冬のツアーがあるもので、メジャーどころは犬ぞりツアーとスノーモービルツアー。犬ぞりは犬選びから始まり、自らがマッシャーとして犬を操りながら行程を走破するという本格的なもの。最高時速40㎞ほどにもなるそりの後ろではずっと立ち通しで手綱を操り、横転も珍しくないというハードさに大いに興味をそそられたが、生憎どのツアーも満員御礼。仕方がないのでスノモツアー8時間コースに申し込む。こちらの方がやや高いが、行程も犬ぞりよりずっと長い。これはこれで楽しめるかもしれない。
町の中心部へ
明日のプランが決まったところで地図を確認し宿を出る。低い軌道を回る太陽は既に西の彼方に沈みかかり、西日に照らされた雪山が海の向こうに広がっているのを左手に見ながら、海に面した道を町の中心部へ向かう。
世界最北の研究センターと世界最北の博物館
北極圏の地質学や生物学などの研究機関であるスヴァールバル大学センターに併設され、スヴァールバル諸島の昔の暮らしぶりなど貴重な資料を見学できるスヴァールバル博物館は残念ながら既に閉館。冬季なので閉館が早く、宿でゴロゴロするのが長すぎたと臍を噛んだが後の祭り。次来た時にきちんと見に行こう(え?)
世界最北のスポーツショップ
こんな北の果てまで来て(恐らく空港内で)手袋を落とすという痛恨のミス。ずっとポケットに手を突っ込んだままという訳にもいかないので現地で調達する他はない。RPGに出てきそうな建物自体がまばらな町なので目指す店はすぐ見つかり、無事防寒手袋を購入。飲食費は物価高が異常なノルウェーだが、アパレルの価格帯は日本とほぼ変わりないのがせめてもの救い。
世界最北の銀行と世界最北の郵便局
店を出ると更に歩いて町の目抜き通りに到着。東京でいえば銀座中央通り、パリでいえばシャンゼリゼ、NYでいえば五番街、が
これ。
建物はほぼ木造で二階建て、ここでもRPGのように一目でそれと分かる施設が左右に一個ずつ並んでいる可愛らしいメインストリートを歩くと、下手に銀行と郵便局の立て看板を見つける
世界最北の土産屋…は幾つかある
通りに並ぶ土産屋に入って品揃えを確かめる。土産の価格は日本より高め
取っ手がホッキョクグマ形にくりぬかれた木のヘラが土産としては手ごろ。一本手に取ってレジに向かうと、店番のおじさん曰く普段はこんな最果ての町にも中国人観光客は大挙して押し寄せ、バスで乗り付けては大変賑やかに買い物をしていくのだそう。
「今はコロナ禍でぱったり客足が途絶えているけど」と言ってから少し声を落とし、
「ところで中国人をどう思う?」
「集団になると大変に騒々しいね」と返すと得たりとばかりに
「だろ?もう本当に大変なんだよしかもあいつら値切るしさあ」とぼやくことしきり。まあ日本人も似たようなもんだけどと内心呟きながらも、しかし世界に悪名を馳せた80年代の日本人観光客団体もこんなところまで来ることはなかっただろうと思うと中国人のバイタリティには素直に感心する。
世界最北のスーパー
土産屋を出ると、既にとっぷりと日が暮れてしまっている目抜き通りをさらに歩き、この町で唯一のスーパーマーケットに入ってみる。
この他に世界最北の病院なども見て一通りの世界最北巡りを終える*1と、雪の中を町はずれを目指して歩き始める。
今晩はもう一つミッションがあるのだ