カサエゴ

Casa Egoista (定員一名の小さな家)

11年目のリニューアル(4)洗面周り③洗面ボウル再考

タイルを貼るにあたっては、当然ながら洗面台もミラーキャビネットも壁面から外せるものはすべて外す必要がある。
わざわざ外して再度取り付けるにあたり、改めて壁付けの洗面台を見直してみる。ちょっと低すぎて腰が痛くなるからもう少し高い位置に付け直そうか。いやまてよ、

 

洗面台・現

我が家の什器類でS氏に完全にお任せとしたものはシンクの換気扇と洗面台のただ二つ。
そして洗面台は実用性第一をモットーとするS氏が選択したのは、機能がそのまま形状に表れているリクシルの真四角の洗面ボウル。飾り気のないすっきりした佇まいは用の美そのもの。

 

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ああ暗い暗いよ

 

これはこれで決して悪くないというか相当に好ましい。45m四方とやや小ぶりではあるが、水はねしにくい形状でボウルにも必要十分な深さが確保され、手洗い洗面歯磨きは勿論簡単な洗い物もできる。なるほど一人暮らし向けの洗面台として誰にでもお勧めできる汎用解として間違いはない。正解だ。しかし汎用解はかならずしも個別最適解ではないとうことが10年の生活を共にする中で分かってきた。

 

 汎用解はかならずしも最適解ではない

S氏は洗面台を選ぶときは施主のライフスタイルを考慮し、それに必要とされるであろう機能を充足することを第一に選択する。子供がいる家であれば洗濯物が多く出るし靴下やハンカチなど小物を手洗いする機会も多いだろう、また子供は派手に水を撥ね散らかしながら洗面を使うものだし、年頃になれば朝シャンプーをしたりもするだろう。といった生活スタイルを想定して家庭用ではなく理科室にあるような業務用の大きな洗面ボウルを採用することもままあり、それが施主のニーズに合致しているので評判も上々。

ではLWH002の家主の場合はどうか。10年の生活における洗面の使い方を分析してみると、まずこの家の主は洗面台で洗い物をしない。洗髪もしない。化粧もしなければ髭剃りも(そこでは)しない。子供ではないので威勢よく水を撥ね散らかすこともない。
することといえば、しょぼしょぼと水を流してしょぼしょぼと手を洗い、しょぼしょぼと顔を洗ってはしょぼしょぼと歯を磨く。その程度。
そのような使い方であれば、水撥ねしにくい形状であるとか洗い物するのに十分な大きさと深さであるとか頑丈であるとかはあまり求められない。であれば、極小の家で暮らすにあたり常に意識しなければいけないニーズ「少しでもすっきりと広く見せる」の観点で洗面ボウルを選ぶのが自分にとっての最適解であると気づく。

 

個別最適解で選びなおした洗面ボウル

自分にとっての最低限の機能性を満たしながらなるべく存在感がなく、軽やかな印象で狭い洗面脱衣スペースを少しでも広く見せてくれる洗面ボウルはどれか。
という観点で再度選定した洗面ボウルが伊スカラベオ社のVeil

 


見た通り存在感のなさと軽やかさは群を抜いているが、それにしても何という形だ。樹脂製でなく陶器製なのに厚さ5mmとはどういうことだろう。果たしてこれで実用に耐えるのか。

という興味も相俟って、これも決定に至るまでさして時間はかからなかった。色んな意味で使う人を選ぶ洗面ボウルには違いない。自分が妻子持ちだったら絶対に選ばないねこれは笑