カサエゴ

Casa Egoista (定員一名の小さな家)

北の大三角形の旅(13)2020年3月7日 Faroe Islands 3(ソルヴァグスヴァテン湖で凍える)

一夜明けて、さて今日はどうしようかな。

オンシーズンの夏であればパフィンを見に行くツアーとか滝を見に行くツアーとか様々なワンデーツアーがあるのだが、生憎とシーンズンオフ真っ盛りなのであまり種類もなく。自転車で島巡り半日コースというのは少し惹かれたが、ここはひとつ自力でどこかに出かけよう。

落差30メートルの海に注ぐ瀧、ソルヴァグスヴァテン湖

朝食を食べてベッドでゴロゴロしながらスマホをいじって探した見どころが、Sorvagsvatnソルヴァグスヴァテン湖。

 

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そしてこの風景に心を鷲掴みにされる。


ロケーションはヴォーアル島の空港隣接、であればここからも近い。
よし今日はここに行こうということで、まずは昨日降り立った空港まで移動。宿からまたバスセンターまで歩いていく。

 

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港の脇を通ってバスセンターまで。クルーザーのオーナーの大半は多分欧州本土のお金持ち

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バスセンター兼フェリー港の向かいの断崖絶壁もこの土地独得の地形

フェロー諸島全景はこちら、①トーシャウンから②ソルヴァグスヴァテン湖まではここから空港行のバスに乗る。ヴォーアル島までは海底トンネルで事実上の陸続き


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バスを待つ間、各島へのフェリーの時刻表など眺める。

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第二の都クラクスヴィーク行きフェリーの時刻表

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大きな滝のあるヴェストマナ行きフェリーの時刻表

このあたりのフェリーに乗って違う街に行ってみることも考えたが、この時刻表ではロスタイムが多すぎる。午後4時には暗くなる冬の日であれば時間は最大限有効に使いたい。とあれこれ考えを巡らしてしまうのも、バケーションタイムに絶対的に恵まれない日本人の悲しき性。

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空港がある村の名がソルヴァグール、したがってソルヴァグール行き=空港行き

空港行き(Sorvagur行き)バスは9時35分、空港着は10時15分。

空港までの短い道のりでまた風景が目まぐるしく変わる不思議な島

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雪全然なーい

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と思ったら雪景色で

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と思ったらまた雪がない風景

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空港に降り立つ

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この日は土曜日、本日の着便はゼロということで空港は開店休業
 
ソルヴァグスヴァテン湖を歩く

案内通り、ソルヴァグスヴァテン湖は空港から10分も歩かないうちに見えてくる。

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空港を背に歩くと

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ソルヴァグスヴァテン湖が見えてくる

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湖に沿って海の方へ歩く

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見渡す限り誰もいない。羊の群れと

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羊のうんこ以外に動物を感じさせるものもない

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一時間も歩かないうちに道がなくなる。どうやらここからは滝まではいけないらしい
ルートが違う?しかし湖に沿って歩けばいつかは先端に到達する筈。という訳で腹をくくって誰もいない湿原を湖に沿ってひたすら歩く

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フェロー諸島の低地は比較的気温が高いらしく、途中の小川も凍り付くことなく湖に注ぎ込んでいる。橋も道もないから飛び越えるほかはないのだけれど

 

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vimeo.com

 

ヴォーアル島の氷雨コンボの前にリタイア

と、ここまで来て寒さが耐えがたくなってきた。フォロー諸島独得の気候なのだろうか、氷雨が吹き付け、吹き付けたかと思うと止んで風が吹き、止んだかと思うとまた強い吹雪が吹き付ける。東京では体験したことのないこの果てしなく続く断続的な吹雪と氷雨で全身ずぶ濡れ、体温もモチベーションも限界まで低下してしまう。身体は冷え切り、足元はぬかるみに取られ、そして見渡す限り誰の姿もなく、こんなところで行き倒れはカッコ悪すぎるので体力が残っているうちに引き返すことに決め、しばし雪のソルヴァグスヴァテン湖畔に佇む。

 

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波打ち際の白い石を拾い上げる。自分へのお土産その2

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帰るか…

 

結果からすれば目的地である絶景にはたどり着けず、ただひたすら辛い思いをしただけのこの日のことが却って強烈に心に焼き付けられているのも旅ではよくあること。見渡す限り誰も見えない、誰も聞こえない、ただどこまでも荒涼としたこの世の終わりのような光景というのも都会暮らしでは得難い体験。何か思いきり叫びたい人、泣きたい人には是非この季節外れのソルヴァグスヴァテン湖畔をお勧めしたい。泣こうと喚こうと羊を追いかけようと誰の目を気にすることもない。ただしゴアテックスのオーバーパンツを忘れずに。ジャケットは防水でも下半身がずぶ濡れになるのはちょっと辛いね