カサエゴ

Casa Egoista (定員一名の小さな家)

LWH004はLWHの新しいスタンダードとなるか

緊急事態宣言再発令直前の昨年12月の終わり頃、S氏と共に見えられたのがSさん。
現在ご自宅の設計をS氏と進行している最中とのことで、その参考までにLWH002を一度見ておきたいとのことで、S氏に連れられてご夫婦でいらした次第。

S氏によれば4件目のLWHとなるとのこと。これまで一度もS氏のモデル通りに出来上がっていないLWH*1だが、今回も既成プランにない平屋プランで考えているという。四連続フォアボールで押し出しで一点だね。何が。

考えてみれば家の最もシンプルな形が平屋であるのに違いなく、LWHのコンセプトとしては確かにミニマルな平屋プランがあっても良かった。LWHは都市型住宅と想定されているので、広い土地を必要とする=都市では非常に高くつく平屋は敢えて提案から外していたのだろうが、今回のようにロケーションを都心からすこしずらせばライトウェイトで平屋建てが可能となる訳で、LWHとしての平屋建てはどのような家になるのか興味深い。風の心配もあまりないから庇を深くとった屋根になるのか、それとも現在のLWHプランの高さをそのまま低くしたような形になるのか。S氏のことだから安易にどこかのハウスメーカーが出しているなんちゃらキューブみたいな(白くて四角くてサイコロのような)家にはしないと思うが*2

平屋ということは当然全てワンフロア、二階建て三階建てより必然的に床の存在感がより大きくなるので床材選びが重要になる筈だが、床材としてはS氏推しの杉でなくメープルを考えられているとのこと。聞いた瞬間に硬質な艶を放つ白いメープルが一面に貼られた明るい家が頭に浮かび、一面メープルの家は見たことがないので俄然興味をそそられる。メープルの床は洋風なイメージがあるがLWHでどのように映えるか。
ただ床面積が広いだけに杉材とはかなりの価格差がある(とS氏にも言われた)筈だが、それでもメープルに拘るだけあって施主Sさんの家おたくぶりは相当なもの。というかS氏の施主は漏れなく家おたくであって、それはS氏が「施主に考えさせる」という一見優しく実はかなりスパルタな家づくりをモットーとしているので家おたくでなければS氏には依頼しない(できない)のかもしれないが、それを割引いても今回いらしたS氏の造詣はヘイルメリーの副編集長以来久しぶりに感心してしまった*3

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 拘る人が作った家は(どんな風味であれ)例外なく面白い。Sさんは思いついてすぐにパッと出すタイプではなく自分の中で煮込んで煮込んで形がなくなるくらい煮詰めてから外に出すタイプのように見えるが、そのような人が悩んで(多分)S氏を悩ませて作る家はどのようなものになるか、他人事ながら(だから?)楽しみであったりする。

 

 

訂正:床材はメープルでなくてヤマザクラとのこと。ヤマザクラであれば白というより赤っぽくなると思うが、このレア素材を敷き詰めた家はメープル以上に見たことがない。広葉樹なので国産材でも杉とはまた違った硬質な雰囲気になるに違いなく、新しいLWHのスタンダードとしてもまた興味深い。

 

*1:最もS氏のイメージに近いLWH003に限って賃貸中でモデルハウスとは出来ないというのが痛し痒し

*2:もしそうだったらすみませんと念には念を入れて一応先に謝っておこう

*3:上からの物言いではなくただ感心したというだけ