カサエゴ

Casa Egoista (定員一名の小さな家)

感触にこだわるライフハック

折角のワクチンも時既に遅し(ていうか何で大都市優先にしないの?)で無観客開催となった東京オリンピック、街で外国人観光客を見かけることもないので我が街でオリンピックが開催されている実感は全くない。車で街中を流すと行く先々で道路が封鎖されているのでそういえばオリンピック開幕したんだったと思い出す位。国民が緊急事態宣言に全く動じず平気で街に出ているのに無観客開催に拘るちぐはぐさ…まあそれはともかく、自車にはエアコンがないばかりか、リアバルクヘッドを挟み背後30㎝にラジエーターが配されているせいで夏場は車内気温が軽く体温を上回る。そんな車でなぜ街中を流すことが出来たのかと言えば、数年前に大枚叩いて入手した水冷ベストのお陰。

 

 

これで氷水を循環させれば一時間は快適に過ごせる。一時間で氷水がぬるま湯になるのでこまめにコンビニにでも立ち寄って氷を購入すれば冷却効果持続は可能、とはいってもそこまでして真夏に行きたいところがある訳でもない。元々夏場は完全にオフとしていたのを車の調子を維持するために月一回一時間程度は乗ろうという目的なので、一時間持てば最低限の要は満たしている。なお販売元ではバイク用を謳っているがバイクで使うことはないだろうなあ*1

信号だらけの都内を僅か一時間のドライブ、だが自分のようなタイプは車を運転すること自体が楽しみなので目的地などあってもなくてもいい。で何を楽しむのかといえばその感触。タイヤとサスペンションとシャーシを介して身体に伝わる路面反力、ステアリングを通して腕に伝わる操舵反力、背後から伝わる回転によって周期が変わる内燃機関の振動*2、変速する度にシフトレバーを介して伝わるトランスミッションの感触、サーボを介さないダイレクトなブレーキの感触。自分が車に乗るのはこれらの感触を楽しむと言って過言でない(EVはこの辺りの手応えが殆どない訳だからつまらないだろうねえ)。

自動車に限らず、考えてみれば自分の趣味嗜好は感触に依拠するところが大きい。家の壁面のトグルスイッチ、日々使用しているメカニカルキーボードや手巻き式腕時計、空冷エンジンのバイクなど改めて見回してみればその感触が気に入って愛用しているものばかり。で更に考えてみれば木造の我が家もその中に入るものであって、階段を昇降する度に無垢一本木の手すりの感触を楽しみ、歩き回る度に木の床のさらさらした表面の感触を楽しみ、さらには木の弾力も楽しんでいる。根太板の上に張られた18㎜厚の広葉樹の床で弾力など感じられるのかと言えば、注意して踏みしめれば固からず柔らからずの無垢の木の床の弾力は確かに感じられる*3。なので毎晩のペーパーモップ掛けですら家の隅々までの木の床の感触を楽しむルーチンに変換されてしまう。感触に拘ってものを選ぶことでそれらを使うこと自体を楽しみに出来ることをどれくらいの人が知っているのかは分からないが、それに無頓着であった人が生活の満足度を手軽に高めるにはおすすめの手段かもしれない。

 

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これも感触に拘って選んだアイテムのひとつ

 

*1:バイクに乗るなら身体を濡らして走行風を受ければ同等の効果を遥かに手軽に得ることが出来る

*2:ただ現在の直4のフィールはややがさつで過去に所有したアルファV6には遠く及ばない。あれは一般庶民に手の届くエンジンの中では最上と言っていい感触で、出来れば今の車に積み替えたい位

*3:木片を接着剤でガチガチに固めた合板の床ではこの弾力は感じられないのだろうし、タイルの床であれば期待すべくもない