カサエゴ

Casa Egoista (定員一名の小さな家)

越南縦断(0)

プーチンのせいで頓挫したプランA

コロナ禍による各国の鎖国も漸く解け、三年ぶりに海外に赴けるようになった昨年度の長期休暇。「長期」とはいえ日本の会社勤めの身では一週間+α程度がせいぜいのところだが、行先候補に入れていた東欧も中央アジアも実質的には渡航解禁とは言い難い。何となればウクライナに攻め込んだロシアに敵対する欧州各国ついでに日本の航空会社は軒並み西側への最短路線であるロシア上空のシベリア航路を使うことを禁じられ(あるいは忌避し)、代わりにトルコ経由の南回りかアラスカ経由の北回りで日本と欧州を結ぶ航路を選択せざるを得なくなったからだ。なおアエロフロートはもちろん就航を停止している。

Aviation Wire(www.aviationwire.jp/archives/246092)より

これの何がまずいかといえば勿論貴重な時間とお金。シベリア航路であれば13時間で到着できたパリまで25時間から30時間以上、航空券も格安ですら往復25万円スタートというのでは時間もお金も余裕のない自分のような一般庶民には無理ゲーもいいところ。戦争さえ終わればこの異常な状況も収まるはずだったが、年が明けても戦況は終結の兆しすら見えないので西方への旅程は諦めざるを得なかった。

コロナ禍を克服できなかったプランB

二年以上の長きに渡り運休していた福岡-釜山を結ぶフェリー航路がこの一月から再開したという知らせを受けて急浮上した案が昨年の八十八霊場遍路に引き続くロングツーリング。もちろん行先は朝鮮半島。福岡からフェリーで釜山に上陸、そのままソウルまで北上し再び釜山まで南下する韓国縦断ツーリングだ。高速道路を使えば往復一日ずつあれば十分な距離だろうが、かの国ではなぜか二輪車は高速道路通行禁止なのでひたすら一般道を往かざるを得ない。多少の余裕を見て往復それぞれ三日が妥当なところだろう。
韓国に観光で訪れる日本人は非常に多いが、その殆どはソウル、釜山、大邱といった大都市や済州島など観光都市しか知らない。これといった名所もない街道沿いの街を目にすることなどほぼ皆無だろう。一方、ツーリングにおいては一日の殆どの時間をそのような名もなき地方の路上で過ごすことになる。日本以上に都市に人口が集中するお国柄なら都市と田舎の落差も大きいことは想像に難くないし、地方まで綺麗に整備された日本の道路網とも事情が違うという話も聞く。これは面白そうだ。
わざわざ休みを取って陸運局や免許センターに足を運んで登録証だの国際免許だのを入手し、カメリアラインのウェブサイトでいざチケットを事前購入しようとした時に初めて「航路再開とはいえ車両運搬は引き続き運休、かつ再開のめど立たず」という事実が判明してこの案は敢えなく無期延期。何と紛らわしい。もっと分かりやすく書いておいてくれ。「運航再開が決定いたしました!(人だけ)」とかさ

プランCの旅ベトナム、残り物には福がある?

さて本当に行先がない、という事態に陥って消去法的に選んだのがベトナム行き。かの国はとにかく航空券が安い。自分の日程とはスケジュールが合わなかったが、安いので有名なLCCのベトジェットであれば往復3万円台のチケットも珍しくない。スケジュールに合わせて調べたところ、バンブーエアという聞きなれない現地航空会社の便でハノイ往復6.7万円(燃料代込み)というチケットが最安で見つかった。今時の相場ならこれでも破格に安い。元々暑いのが嫌いで蒸し暑いのはもっと嫌いで、そのため暑い地方への旅行も東南アジアへの旅行も長らく避け自分の旅の季節は冬と決めていたのだが、かくなる上はやむを得ない。人生は配られたカードで勝負するしかないとスヌーピーも言っているじゃないか。ということであまり気乗りのしないままベトナムに赴くこととした。結論から言えば率直に言って面白い。綺麗好きな方にはあまりお勧めできないが、それ以外の人であれば一度は行ってみて損はないとお勧めできる。それも途上国の香りが色濃く残る今のうちに。歴史が好きな人であれば更に二重丸でお勧め。というメモをぼちぼちと。