下町の湯、廃業
行きつけの銭湯までは徒歩15分。
帰宅までに汗をかいてしまう夏場やその逆に身体が冷え切ってしまう真冬を除いては月二回は訪れている山吹町「松の湯」。なんということのない普通の銭湯であるところがまた良い。
前の週に降った雪もあらかた溶けた二月の週末、久々にケロリン洗面器を抱えて訪れてみると様子がおかしい。灯りが消えシャッターが下り、入口脇の料金表の看板も剝がされている。
更に近づいてよく見ると、無遠慮に貼られている大きな紙が目に入る。
まさかこれは。
そのまさかで、松の湯の取り壊しとマンション建設を告知する張り紙が味わい深い古いタイルの壁にべったり貼られている。
また一つ下町のほっとする施設が消え、面白くも何ともないマンションが取って代わる。ていうかもういいよマンション新築は。今後はガンガンと、それこそ年間何十万人規模で人口が減っていくこれからの日本でこれ以上必死こいて狭い土地にマンションおっ建ててどうする。
ささやかな生活のささやかな楽しみが一つ消えるのは面白くないことに違いないが、不幸中の幸いで徒歩圏内に銭湯がもう一つ、ここからさらに五分ほど歩いたところ*1にある。六人も入ると一杯になってしまう小さな浴槽と殺意を感じるほどの熱い湯を敬遠してあまり行くことがなかったのだが、こうなってしまっては選択の余地はない。それもいつまで続くことか…
*1:最近はメディアが「奥神楽坂」とかふざけた通り名で流行らそうとしているゾーン