カサエゴ

Casa Egoista (定員一名の小さな家)

23区最後のフロンティア

古いものに味を認めるのは家ばかりではない。使い込んだ古い機械、特に内燃機関にも得も言われぬ味があるものだ。今後ガソリン車に取って代わると言われている電気自動車にもそれはあるのだろうか、少なくとも通電すれば回転するだけの単純にして無味乾燥な電気モーターは古くなるイコール単にボロくなるだけなような気がするが。

なので、S氏が近い将来絶滅しそうな*1原付スクーターを修理しながら大事に乗っているのはとても好ましい。ysp戸塚の島田店長によれば空冷4サイクル単気筒49ccの原付バイクの実用上の寿命はおよそ2万キロもしくは6年から10年とのことだが、前にも書いた通り修理出来る限り機械はいつまでも使い続けることが出来る。こうなれば将来プレミアがつくまで(殆ど捨て値で売られていたのが今や新車以上の値で取引されている昭和のスポーツカーのようになるまで)乗り続けて欲しいものだ。

 

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自動車の寿命は勿論原付より遥かに長いが、自分の車も購入22年にして漸く5万キロを突破。機械は動かさなければ却って調子が悪くなると思い最近は調子維持のため(だけに)出来るだけ頻繁に乗るようにしているが、それが奏功してかここしばらくは非常に好調。吸気圧縮爆発排気を繰り返す内燃機関を背中に心地よく感じながら向かった本日のメンテナンスドライブの行先は、東京23区最後のフロンティアと呼ばれる令和島。

 

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川崎市(城南島)に隣接する辺境ではあるが立派に東京都大田区

大田区江東区の領有権争いがやっと決着して令和元年に名称が決まったこの令和島、将来は豊洲のようにウォーターフロントにタワマンが立ち並ぶニュータウンになるかといえば多分ならないだろう。バブル期ならともかく人口右肩下がりのこれからの東京において、公共交通機関から隔絶されたこの地にわざわざ鉄道を延伸してまで新たに街を開発するニーズなどある筈もない。ということでフロンティアはいつまで経ってもフロンティアのまま、大都会東京では貴重な荒涼たる風景はこの後も暫く楽しめそうだ。

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これでも23区

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5万キロ号の彼方に沈む晩秋の太陽

 

*1:電気アシスト自転車の登場にとどめが刺された感がある。日常の足として殆ど疲れることなく移動が出来、原付には出来ない二人乗りも駐輪場駐輪も出来る電気アシスト自転車、「これがあれば原付なんかいらない」と言って原付から乗り換えた人は自分の周囲でもそこそこいる。かくして国内販売台数は全盛期の十分の一以下、海外に活路を見出そうにも日本の免許制度の申し子である50ccバイクなど世界のメイン市場である中国でもインドでもお呼びでない