カサエゴ

Casa Egoista (定員一名の小さな家)

手土産の行先

 

生来アルコール代謝が低い体質なのであまり酒を飲むことはないのだが、歳を取るにしたがって冬に飲む日本酒の美味さが分かるようになってきて、とは言え元々酒飲みでもないので一人酒の習慣もない(夏の夜のビールは別として)のでここ何年かはS氏にお付き合いいただいて真冬の日本酒を楽しむのが恒例となっている。
先週もS氏とS氏に誘われたLWH004のSさんとK夫妻にお越しいただいてその機会を設けるに至った。SさんもK夫妻も初対面ではないので前回お会いした時からと比較しての現況など伺いながら楽しい酒を飲むことが出来た。

S氏の連れてくる方は皆どこかにこだわりがあって、他人のこだわりを聞くのはとても面白い。LWH004が色々な面でこだわりの家であることはS氏からも折に付け紹介されている通りで、今度はプロを入れて本格的に庭造りを始めるとのことだが造園家にとっても一筋縄ではいかない顧客であろうし、今度もまたじっくりと意見交換を繰り返しながら時間をかけてこだわりの庭が出来るのだろう。

徳大寺有恒のエッセイで「私、アウトビアンキに乗っているんです」という一言でその言葉を発した若手女性編集部員を見る目がガラッと変わったという経験を書いた一節があったが、K夫妻の奥様がF650GSに長年乗っていて都内の通勤にもそれを足にしていたという話を聞いた自分の心情も徳大寺氏のそれに近いものがあったかもしれない。勿論大型バイクに乗っている女性というだけでもとても興味深いのだが、その愛車がハーレーであったならまだ「ふんふんハーレーね」くらいであっただろう*1。だがそれがF650GSというというのであれば俄然面白さが増すというもの。BMWではあるがいわゆる威張りが効くバイク*2ではなく、見栄えより自分の体格に合っていて自在に取り廻せることを優先して選んだミドルクラスのアドベンチャーバイクをずっと乗り続けているところに酸いも甘いも嚙み分けたラリーストのようなベテラン感を感じずにいられない*3。これは侮れないなと(いや別に普段は侮っているわけではないのだが)目の前で猫の相手をしているゲストを見る目も違ってこようというものだ。しかも我が家近くの通りが通勤ルートであり、坂を下りたところにあった肉屋によく立ち寄って買い物などして行かれたというのだからそれも不思議な縁である。

そんなこんなで自分としてはそれなりに楽しい時間を過ごせたのだが、お開きになった後でいつもどうしたものかと思うのはゲストが持参されたものの手付かずで残ってしまった手土産の数々だ。本当は用意された飲食物を全て食べ尽くし飲み尽くしてお開きとなるのが理想ではあるのだが、中々そう上手く事は運ばずに大抵は未開封のまま残る飲み物やら食べ物やらが出てしまう。これはとても勿体ない事だし、美味しい食べ物飲み物を場に供しようと持ってきて頂いたゲストの意に背くことにもなる。かと言ってそのままお返しするのも突っ返すようで失礼な気もするし、次回からはそのような飲食物は他のゲストへのお持たせとして配分するのがいいような気がするがいかがか。今回も皆様がそれぞれ美味しいお酒を持って来て頂いたので多くが飲み切れず残ることとなり、また賞味期限の短い日本酒を自分一人で飲み切れるものでないのは明白なので未開封で残った二本をSさんとS氏にそれぞれ一本ずつお持ち帰り頂いたが、なお残った三本(S氏がキャビネットの上に並べていった)を睨みつつそのような事を考えた次第。

*1:大型免許を取得する女性の動機は大概が「ハーレーに乗りたくて」である

*2:威張りの効くバイクの筆頭と言えばBMWのRシリーズのGS、今ならR1300GSで、デカい速い高いの三拍子揃っているこのバイク(ほぼ例外なく左右で軽く40万円を超えるパニアケース装備を伴う。アルミの収納ケース一つでS氏のジョグ二台分ほどもするのがBMW)は満艦飾のハーレーと並び裕福なおじさんがその経済力を存分に見せつけるアイテムとなっている。間近で見るととにかくその巨大さと押し出しの強さに圧倒されるが、その戦艦の如き巨体を自在に操れる乗り手は稀であろうこともまた論を待たない

*3:バイク乗りならこの感覚は分かっていただけるかと思う。onherbikeのキンガにしても乗っているのはF850GSであり、超のつくベテランライダーにして身長180cm近い彼女であっても世界を駆けまわる相棒にはミドルクラスを選ぶのだ