カサエゴ

Casa Egoista (定員一名の小さな家)

セミリタイアを目指す後半戦(1)

客観的に見て後半戦に入った人生、残された時間をどう生きるかということに考えを巡らすことが知らず知らずのうちに多くなってきた。

時を同じくして勤務先の経営状態が悪化、一言でいえば左前となり、程なくしてリストラの前哨としての早期退職者募集を開始。これまでの自分や友人の経験を通して言えることとしては、こうなってしまったら会社はもう駄目。選択肢は二つ、削減すべき固定費としか社員を見なくなった会社の露骨な経費削減策(俗にリストラという)にひたすら耐えながらいつ来るとも分からない再浮上の日を待つか、それとも早々に見切りをつけ、貰うものを貰ってさっさと去るか。

今回の自分が選んだのは迷う余地もなく後者。年齢からしてコネもない中での再就職は大いに苦戦することが予想される状況でなぜ躊躇う余地もなくほぼ即決で手を挙げたのかと言えば、まず自ら選んで入った訳でもないという経緯からそもそも会社に対しロイヤルティのロの字も持っていなかったということ、そして借金を抱えた身でもなければどう転んでも自分ひとり(と居候ズ)が食べていく位はどうとでもなると腹を括れたことが何より大きい。
いよいよとなればタクシーの運ちゃんでもやって養ってやるから心配するな、と居候の腹を撫でながら就活を開始しおよそ二か月、首尾よくというか運よくというか、失業手当を貰う間もなく次の職場が決まる。

前々職は会社が買収されたことに伴うリストラの開始に先立って辞め、今回は経営悪化によるリストラの開始に先立って辞め。再就職を相談した前々職の上司からはお前は逃げ足が早いよなあと妙な感心をされたものだが、大借金を抱えていた前回の転職と違い、今回の再就職に当たっては年収は二の次で残りのサラリーマン人生をストレスを溜めずに過ごせる環境であることを最優先に考える。
そうして決まった職場(初めての日本社)は果たせるかな、自宅から徒歩でも通えるほど近く通勤ラッシュとは無縁、これまでの人生を過ごした中小外資系企業にありがちな一癖二癖あるおっさんが幅を利かせていることもなく、そして自分の心持ちとしても最早セミリタイアの心境なので心穏やかにほぼストレスフリーで働ける環境。予想通り露骨なリストラが始まって社内の空気は最悪という前社の噂を聞くにつけ、やはり我が家を経済的負担の軽いLWHにしておいて良かったと思う他はない。もし奮発してRC造の三階建でも建てて未だ借金を抱える身であったならばさすがに次の当てもなく退職するなどという博打を打つことは叶わず、どんな仕打ちにあっても会社にしがみつき続けるしかなかったのだから。

そう考えるとやはりこのご時世で大借金を抱えるのは相当なリスクという他はなく、持ち家反対派の言うことにも一理あると言わざるを得ない。悪いこと言わないから公務員でもなければ身に余る借金を抱えて不必要に立派な家を建てるのはやめておきましょう。建てるならばスーツケースのような家を。