カサエゴ

Casa Egoista (定員一名の小さな家)

ばっさり

我が家の擁壁から突き出て生えているモチノキ(と思っていた木)は建築中は一階の庇に届かない程度の高さだったのが、その後12年を経て2階の屋根を遥かに超える大木にまで成長した。この木なんの木気になる木、正解はネズミモチの木*1。小さな我が家をすっかり覆い隠してしまう程にまで成長したこと自体は全く構わないのだが、その枝ぶりは我が家の敷地から左右にはみ出て両隣のベランダや屋根に掛かるほどになっており、またさすがにここまで大きくなると自重に耐えかねて擁壁もろとも崩落するリスクも現実的なものとなってくる。眼下の駐車場のオーナーから「お前ん家のアレ何とかせいよ」という苦情の投書を頂いたりしたこともあり、遂に初めての「ネズミモチの大剪定」を実施することとした。

 

ビフォー。文字通りの隠れ家となっている我が家

やはり隠れ家

どこの密林ですかというアングル

剪定するといっても足場がないような難条件であることもあり、普通の業者では対応できないであろうことは容易に想像がつく。伐採業者の心当たりもないので相見積もりサイトを利用し、対象の住所・樹木・環境など簡単な情報を入力すると、それを見た中で六社ほどの業者から見積もり立候補の連絡が届いた。

 

 

割と簡単に見つかったなと安心したのは早計であって、ここからが一苦労。業界が違えば常識も違うことはこれまでの数多の経験で心得ていたが、どうやら剪定・伐採業界もかなりルーズというかいい加減な業界らしく、面倒くさそうな仕事だと察するや返信も寄越さずばっくれる業者が続出*2。どうやらここも運送業*3寄りのぬるい業界であるらしい(悪いがこれくらいの毒は吐かせてくれ)。
結局、本当に見積もりにやって来たのは一社のみで、相見積もりにも至らずそのままその業者と契約。難しい立地の大木であることもあり、費用はおよそ原付二台分。痛い出費だが、万が一事故でも発生すればそれどころの損害では到底済まない。これも都心に得難い「緑溢れる高台からの眺め」の代償と考えれば已むを得まい。

夏場の剪定・伐採業者はひっぱりだこで大忙しらしく(他社の対応がいい加減であったのも納得)、我が家のネズミモチの剪定も契約から優に二か月を超える待期期間を経てようやくその日がやってきた。それに合わせて有給休暇を取得*4し、朝一から始まる半日がかりの剪定工事に立ち会う。といっても伐採・剪定箇所を指示したらあとは屋内に引っ込んで工程を中から見守るだけのことなのだが。

 

久しぶりに姿を現したLWH002

この角度からも見える

大分すっきりした様子

 

株立ちで生えているネズミモチの周囲1mほどの太い株を根元から伐採、その他の株は高さを屋根より低く押さえ、窓から見える緑を最低限確保しながら枝を強剪定。
見た目も実際の重量も随分軽やかとなり、これなら擁壁が崩壊することも苦情を申し立てられることもあるまい。生命力が尋常でなく強い木なので来春にはまた新しい枝が噴き出すように生えてくるのは想像に難くないが、これで少なくとも後10年は安全に過ごせるだろう。

しかし、元はと言えばどこかの鳥の糞と一緒に擁壁に張り付いた種が石の壁をこじ開け、鉄筋コンクリートを持ち上げ破断してここまでの巨木に成長するんだから・・すごいね自然。

 

 

*1:業者に教えてもらった。しかし名前の印象があまり宜しくないし、実がネズミの糞のようだからという由来もまた宜しくない

*2:自分が飯を食ってきた業界の常識からは考えられないルーズさだが、そんなぬるいやり方でも商売が成り立つのであればそれに越したことはない

*3:自分が託した荷を紛失しておきながらばっくれようとした〇川急便との過去のトラブルについては以前のエントリで書いた。書いたような気がする

*4:平日でなければ秋が深まる頃まで待たなくてはならない