カサエゴ

Casa Egoista (定員一名の小さな家)

家になる

我が家のすぐ近くのだっだ広い空き地に六戸集合のテラスハウス(建築法上は「長屋」*1)の建築が始まって早一年近く、いよいよ工事も大詰めで内装と外構の仕上げに掛かっている様子。何せ我が家から一歩外に出れば否応なく目に入るのでごく自然に工事の進捗を毎日見守ることになるのだが、出来上がった家を取り囲むむき出しの土に土間コンクリートが打たれ更にその上からタイルが貼られ、ブロックで塀や門を作って化粧モルタルで綺麗に整え、アイアンの門扉を取り付けて門灯が下げられ、最後に庭木の数本も植えて外構を整えるうちに、やたら大きいだけでなんだか殺風景だった建物もみるみるうちに家らしくなってくる。やはり家は外構まで含めて家なのだ・・と言って我が家を顧みれば土地の狭さ故に塀や門扉を取り付けるスペースなどとてもなく、しかし猫の額ほどの僅かなスペースにシンボルツリーだの下草だのを植え付ければそれだけでも家だけ土の上にポンと置くのとはだいぶ違う。足元から木や外壁を照らすようにライトアップすれば、夜はそれなりに様になってさえ見える(照明の効果は偉大)*2

しかしこの長屋、外から見る限りは家としてほぼ完成した今となってもやはり何かが足りず、どこか空虚で気味が悪い。住人の気配がない住居というものは大小問わず美醜を問わず、一様に血の通わない生乾きのパンツのような異物感を見る者に与えてしまうのは不思議なもので。着工前に説明に見えられた不動産業者の説明では買い手がつかないままの見切り発車ということだったが、作ってしまったのであれば一日も早く全六戸に行儀のいい*3住人が収まってこの町の一角に血を通わせる家となって欲しい。という野次馬の雑草であった。

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窓に設えられた花台も活用して町に彩りを添えて頂きたく

*1:玄関や廊下やベランダといった共用部を持たない集合住宅は「長屋」に区分される

*2:白々とした明るいだけの街灯など取っ払ってしまって、並ぶ家がそれぞれ電球色の電灯でライトアップするようにすれば街並みも随分綺麗に見えるのではないだろうか。と常々思っているのだが

*3:一般的にはお行儀がいいとされているわが町にも、夜中まで表でボール遊びする道路族とかゴミ出しを守らない不届き者とか頭の痛い存在がいたりする。当然というか賃貸住人なのだが