- 山門で一礼し入場
- 手水場で左手右手を清め最後に漱ぐ*1
- 鐘楼に上がり鐘を撞く*2
- 本堂前に進み、蝋燭に点火し蝋燭立てに立てる
- 線香三本に点火し線香立てに立てる
- 納め札を札入れ箱に収める
- 賽銭箱に賽銭を納める*3
- 鐘を鳴らす
- 数珠を持ち一礼
- 納経する(AB何れか)
A:写経を写経箱に納める
B:読経で納経する
納経とは本来は写経を納めることを指すが、堂前で経を読み真言(マントラ)を唱えることでも写経を納めるのと同じ意味があるとされている。最も時間を短縮できるのは予め用意した写経を写経箱に入れることに違いないが、般若心経を写経するのに一時間はかかることを考えると、日頃から写経を趣味とする人でもない限りとても八十八札所×各寺二か所をカバーできる写経など用意できない。*4したがって殆どの巡礼者は読経による納経を選ぶこととなる。
➊開経偈(一返)
②懺悔文(一返)
③三帰(一返)
④三竟(一返)
⑤十善戒(一返)
⑥発菩提心真言(一返)
⑧三摩耶戒真言(一返)
➒般若心経(一返)
➓各寺の御本尊真言(三返)
⑪十三仏真言(三返)
⓬光明真言(三返)
⓭御宝号(三返)*5
⓮普回向(一返)
読経による納経は正式には①から⑭の全てを唱える*6こととされているが、自分は時間短縮のため納経として成立する範囲での省略として➊➒➓⓬⓭⓮の読経のみで終了としていた。見る限りで他の遍路者では更に省略した最低限の納経パタン➒➓⓬で終了している人が最も多かったので、自分レベルの省略であればまあ許容範囲だろう。 - 数珠を握り一礼し堂前を辞する
- 大師堂に向かう
- 上記4~10の繰り返し
- 納経所で納経を頂き、御本尊の御姿カードを受け取る*7
上記で札所一か所でのルーチンが終了となり、次の寺に向かうことができる。札所となる寺には必ず本堂と大師堂が設置されており納経を二回繰り返すことになるので、どんなに急いでも一つの寺に最低15分は滞在することになる。またオンシーズンともなれば納経所での順番待ちにも時間を取られることを考えると一か所あたり30分と見積もっておきたい。15分というのはあくまで街中の本堂と大師堂、納経所がコンパクトに配置されたこぢんまりとした寺、かつ納経所での待ち時間もゼロという場合の最短モデルであり、山の上の広大な寺であれば45分から1時間ほどかかることも珍しくないからだ。したがって一日で回れる寺の数は存外少なく、スピーディなバイク(車)遍路でも最低八日は必要であろうと思われる。
「ただ回るだけ」であればもっと短縮も可能だろうが、それではそもそも巡礼の意味がない。かつて「水曜どうでしょう」のクルーが「ただ山門前に立つだけ」のチャレンジで丸四日かかって八十八札所巡りをクリアしていたが、TV番組としてはそれで成立しても遍路としては成立していないのでインチキせずきちんとやりましょうね。定められたお約束とお作法を守ってミッションをクリアするところに「功徳を積む」と呼ばれるに相応しい価値があるのであって、ルールを無視してチートでクリアしたところで面白くも何ともないし達成感も得られない。これはゲームも遍路も同じ。
*1:今はウィルス感染対策によりほぼ全寺で使用禁止
*2:鳴らさなくても可、今はウィルス感染対策により鐘撞き禁止の寺も多い
*3:幾らでもいいが五円玉が一般的。都合176回お賽銭を投げることになるので、予め小銭を大量に用意しておくのが好ましい。自分は銀行で両替した5円玉200枚を持参。しかし今どきの銀行は小銭に両替するのにも結構な額の手数料を取るのも世知辛い。1000円分の五円玉を入手するのに450円くらいの手数料を支払うことを余儀なくされた。
*4:全てを写経で賄おうとすると事前準備に176時間必要な計算となる。忙しい現代人にはとても無理
*5:四国は薬師信仰が盛んな地らしく、本尊は薬師如来が最も多く全体の三分の一ほどを占める。関東で広く信仰を集める不動明王を本尊に据えた寺は数えるほどしかなく、上杉謙信でおなじみの毘沙門天に至っては43番札所の明石寺ただ一か所のみ。あまりに薬師如来の真言を唱える回数が多いので、以前より覚えていた阿弥陀如来・毘沙門天・お不動に加え薬師如来の真言も諳んじることができるようになった
*6:どれも非常に短い経文であり、最も長いのが(一般的には短いお経として有名な)般若心経となる。
*7:いわゆる御朱印だが、四国八十八遍路で頂く御朱印は一つ一つがお経と同じ有り難さがあるとのことで御朱印と呼ばず御納経と呼ぶ。納経帳への納経は300円、掛け軸への納経は500円、その他白衣への納経は200円。また山寺では納経所で駐車場代を合わせて徴収されることも多い。バスは500円、自動車は300円、バイクは無料~200円が相場。歩き遍路はもちろん対象外