カサエゴ

Casa Egoista (定員一名の小さな家)

脱走防止柵を作る(3)完成しても to be continued

脱走防止柵に転用するハンガー掛けの取り付け基部の幅は60mm。玄関の奥行と同じ幅に誂えた靴棚とそれに続くキャビネットの間のおよそ6㎝の隙間に丁度収まるので、ここにハンガー掛け転じて脱走防止柵を取り付ける柱を立てる事とする。

そうなるとやはり一般的な2x4材(幅約9cm)はここに入らない。キャビネットを奥に3cmほどずらせば2x4材が収まる空間が出来るが、このスペースは完全にデッドスペースとなる以上、例え3cm×キャビネットの奥行程度の面積とはいえこれ以上小さな家の一階DKスペースが侵食されるのは困る。ということでここに収まる材木を探すと、2x3材であれば丁度ぴったり収まることが分かった。強度も十分で申し分ない。難点は(長尺の)2x3材はまずホームセンターでは売っていないので価格以上の送料を払って取り寄せるしかないところ。

長さ2440mmの2x3材には柿渋塗料のホワイトを塗る。
以前に家の脚立に青い柿渋塗料を塗った時の下の木目が透けたラフな風合いが気に入って採用したのだが、一度でやめておけばいいものを三度塗りもしたせいで木目がほとんど見えなくなって普通のペンキを塗ったのと変り映えしない見た目になってしまった。まあいいか

 

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床に接する部分には八幡ねじのアジャスターを取り付ける…


2x4材を突っ張り棒とする時に一般的に用いられるラブリコディアウォールは2x4専用なのでサイズが合わないし、無駄に存在感を主張するプラプラした質感が気に入らない。一本立ちする突っ張り柱など黒子に徹してくれればそれでいいので、機能本位で一番目立たない八幡ねじを採用。これで突っ張り棒の足としては十分だし何より安い(合計631円で済むこのコスパの良さ)。ラブリコなど二千円以上する上に後述の理由により上側の突っ張り部分は使えないのだから尚更。

 

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下側のアジャスターを取り付けたら天井の高さに合わせて2x3材をカットすればいいのだが、ここでまた一つ問題が。柱を真っ直ぐ立てた先には梁もなければ裏地もない。梁の右側をかすめて隣接する天井板に2x3材を突っ張ることになってしまう。

 

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天井に張られているのは何の変哲もない珪酸カルシウム板。正拳突き一発で軽く穴が開いてしまうこのやわな素材に直接突っ張り柱を突っ張るなどという恐ろしい事は流石に出来ない。この場合梁に突っ張るのが正解になるが、そうするには6cmもキャビネットをずらさなければいけなくなる。3cmの空間浸食が許せずにわざわざ2x3材を採用していながら今更6cmもの空間浸食を許容出来る筈がない。

ではどうするか。このような2x4材同士の接合金具を用いる。流石DIY王国の米国には便利なアイテムがあるものだ。

 

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本来の使い方とは違うが、これをひっくり返せば隣接した梁に2x3材を接合することが出来る。このように取り付けて、下から梁を抱きかかえるようにねじ止めすればいい。

 

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最後の課題をクリアしたところでいよいよハンガー掛けを2x3材にねじ止めする。取り付け基部の幅は2x3材の幅とほぼ同じ。お誂え向きだ

 

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準備が整ったところで柱を接合金具とともに梁にねじ止めすると、足元の八幡ねじを動かなくなるまで左回りにぐりぐり回して突っ張る突っ張る。

目論見通り、現状の家具配置を一切変更せずに突っ張り柱を立てることに成功。

 

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最後にハンガー掛けにスチールの札を下げ、間に細かくチェーンを張り巡らして完成。

 

 

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イメージ通り、開け閉め簡単で使わない時はコンパクトに収納でき機能的で圧迫感のない、ミニマムな我が家に相応しい猫脱走防止柵が出来上がった。恐らくは世界に二つとない、この怪しい見た目もお気に入り。プラモデルを組み上げるように、夜な夜なラジオペンチ片手に少しづつチェーンを張った作業も終わってみれば楽しいものだ。

幅が足りなくて出来た隙間は補助的にスチールプレートを立てて塞ぐ。これで完璧。ふはははははザマ見なさい。

 

と高笑いが出来たのも僅か一週間、いつの間にか居候はまた何食わぬ顔で玄関に出るようになってしまった。床との隙間に顔を突っ込んで無理やり這い出るやり方で攻略したか…

 

いたちごっこはなおも続く。

 

 

 

アオダモ二度目の春ブースト

昨年植え付けてから初めて越冬し、再び元気に新緑を吹き出した二代目シンボルツリーのアオダモ

昨年三月に植え付けてからすぐに枝を伸ばしたのだが、


二度目の春は更に成長が加速している。

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緑色の枝がこの春ののびしろ

新しく伸びた枝は40㎝はあろうか。

昨年植えた当初は自分の背丈とそう変わらない高さだったのがあっという間に2mを遥かに超えた。この成長の早さは頼もしい

 

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殆ど根を張るスペースがなく保水力もない我が家の猫の額の庭にうまく適応したのか。

ともあれアオダモの二年目は安泰のようだ

 

脱走防止柵を作る(2)なければ作ろう不如帰

またも沸き立つDIY

 

既存の脱走防止柵はどれも帯に短し襷に長し。「にゃんがーど」なら少し細工すれば十分使えそうではあるのだが、よくよく見れば何の変哲もない2x4材にディアウォールをつけただけの柱が二本と間に格子の扉が一つ、これでおよそ四万円。

www.wakaisangyo.co.jp

 

自分は決して原価厨ではないし、製品が製造原価で世に出回る筈がないことも重々承知しているのだが、しかしこの位なら自分で作れね?と思ってしまったのも事実。それに天井まで届かんばかりの格子戸はただでさえ狭いこの家を更に細かく区切って狭く見せてしまうことになり、その点からもこの設置は躊躇われる。

どうせ少なからざるコストを掛けるのであれば、もっとこの家と自分の好みに合うものを。薄く小さく存在感がなく、使わないときはコンパクトに収納出来てかつ野暮ったくもない、そんな柵。ないなら作るしかない。四万円で既製品を買ったと思えば、多少贅沢にコストをかけても惜しくはない。

 

HOOD選手一世紀ぶりの登板

イメージは欧州の雑貨屋で何度となく目にした、閉店後の店を守る伸縮式の鉄の防犯フェンス。あんな素材がないものか。

あれでもないこれでもないと素材を探している内に、そういえば以前トイレットペーパーホルダーを購入したインダストリアル系に強いアンティーク屋さんでそれっぽいハンガーホルダーを目にした記憶が蘇った。あれなら使えるかもしれない。

casaegoista.hatenablog.jp

 

久々にHPを訪れてみると、記憶通りの製品の売り物が自分に買われるのを待つように一つだけ残っている。

サイズを確認する。十分な長さではないが柱を立てれば何とかなりそう。

これはいけそうだ。との直感にしたがって早速取り寄せてみると、届いたのは「"HOOD" DALLAS, TEXAS」とプレートに打刻された、想像以上にがっちりと組み上げられたスチールプレートの塊。およそ100年も前に作られ、伸ばした状態で上着とハンガーを八組もぶら下げるられるなどの酷使を経てきたにも関わらず、ガタつきは皆無で目立つ錆びもなく、程度は極上。一目で気に入った。

 

 (材料力学で必要十分な強度計算を行い、最低限の材料でぎりぎりの強度を確保して無駄なく合理的に機械生産された現代のスマート*1な製品ではありえない過剰品質がビンテージ工業製品の魅力。過剰な太さ、過剰な分厚さに過剰な頑丈さ。生産機械が未発達な時代ゆえに馬鹿馬鹿しいほどの手間暇をかけられて世に送り出された製品はある意味贅沢なことこの上ない*2

 

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縮めた状態では20㎝程

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目いっぱい伸展すると90㎝程度までカバー

 

よし、これを使って我が家にふさわしいコンパクトな脱走防止柵を作ろう。

しかし100年前のダラスで無数のむくつけき南部男どもの上着を預かってきたハンガー掛けが、最後には遥か太平洋を越えて日本は東京で猫の脱走防止柵になろうとは。なんという可愛らしい余生だろう。笑

 

 

*1:スマート:賢い

*2:我が家のトイレットペーパーホルダーなんかその典型。たかだかトイレットペーパーを保持するのになぜ1㎏もある真鍮無垢が必要なのか。用途に必要な強度の軽く百倍は頑丈に作られた製品の何と馬鹿馬鹿しくも贅沢であることか。もう大好き

脱走防止柵を作る(1)既製品が合わない玄関

外に出さない完全室内飼いの猫について回るのが脱走のリスク。誰しも友人知人から、あるいはそのまた友人知人の話として一度は飼い猫の脱走・失踪の話を聞いたことがある筈。それ位メジャーな問題。

帰宅して自転車を片付けている音を聞きつけ、ドアを開けると目の前に座っているのがいつものこととなっている我が家の居候においてもその例に漏れず。格安だったとはいえ自分にとっては大金を叩いて入手した居候、元も取らない内に簡単に脱走されては大いに困る。ということで防止策を考える。

 

まずはお手軽柵を置いてみる

間に合わせで取り敢えず購入・設置したのが二分割の置き柵。

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難点の第一はご覧の通りの野暮ったさ。ダサは敵。

第二に使い辛いこと甚だしい。人が通る時はスライドして収納できるのかと思いきや、がっちりと固定しているフックを外してよっこいしょと持ち上げ、移動させてもう一度フックを掛け直すという何ともひねりのない作り。通路に置く柵としては余りに不便なので画像のとおりフックを掛けず軽く立てかけて置かざるを得ないが、そうすると居候が軽く押しただけで派手な音を立てて玄関に転落。タイルに傷がついてしまった。

第三に我が家の玄関に合っていない。脚を置くべき場所に階段の側板があるのでその手前に置かざるを得ず、居候はその隙間から自由に出入り出来てしまう。一度覚えたルートは二度と忘れない我が家の居候の前にこの柵はわずか二日しかその効果を発揮せず、単なる野暮ったくて扱いづらい、(猫向けでなくて)人間向けの障害物に成り下がった。

これはダメだ。

 

 網戸ではどうか

そういえば犬を飼っている友人の家は玄関ドアに網戸をつけていた。探してみると、我が家のドアを調達したリクシルからドア枠に取り付けるタイプの網戸が販売されていることが判明。

これならドアから外へ飛び出すことは完璧に防ぐことができる筈。

値段も手ごろ。よしこれにしよう。

と、クリックする直前で手が止まる。

いや、これでは玄関に出ることを止めることはできないぞ。

玄関に自由に乗り降りされては家が汚れるのを防げないこともあるが、それよりドアと一体化した脱走防止柵ではドアを開けている間の脱走を防ぐことができないではないか。

amazonのヘビーユーザである我が家には頻繁に宅配便が訪れる。配達員を招き入れられるほど我が家の玄関は広くなく、かといって後ろ手にドアを閉めて外に出て応対するのも不自然だ。普通に半開きのドアを挟んで遣り取りすることになるのだが、この時に発生する数十秒の隙を玄関網戸ではカバーすることができない。居候は来客があると姿を隠して出てこない類の人見知り*1とは無縁、それどころかチャイムがなるとご主人に先駆けて玄関に向かう強い好奇心の持ち主で、他人を怖がらないことは飼い猫としては本来望ましい性格*2なのだろうが、脱走防止の観点ではこの性格が逆に災いすることとなる。

ピンポーン

ヤマト運輸ですー」

「あ、はーい」ガチャ

「…(スッ)」

「こちら一点です。受け取りにサインをお願いします」

「はい」サラサラ

「…(スルッ)」

「あっ」

「(タッタッタッタッ)」

「あああああーっ」

 

こんな光景がありありと脳裏に浮かぶとたまらず楽天のタブをそっ閉じ。

これもダメだ。

 

決定版発見。しかし…

ネットの海を彷徨うことしばし、猫脱走防止扉の決定版ともいえる扉「にゃんがーど」に辿り着く。

nekokobo.jp

これは脱走防止効果はほぼ完璧、ツーバイの突っ張り棒の間に格子戸を設けるタイプなので通行も楽々、見た目も悪くない。コストも手間もかかってない割に結構いいお値段はするが、これにしようか。

と、クリックする直前で手が止まる。

これは我が家の玄関には合わない。

突っ張り棒の二本の柱はキャビネットを動かせば何とか梁に届かせることが可能だが、その柱で支える扉は階段の側板が邪魔で開くことができない。ならばと手前に開こうにも、我が家のミニマムな玄関の奥行は扉の幅に足りない。つまりこの扉は奥にも手前にも満足に開かない。幅を狭めて側板の内側に柱を立てれば問題なく開くことが出来るが、それは即ち扉の外から出入り自由になることを意味する。それでは何の意味もないとブラウザをそっ閉じ。これもダメか。

さてどうするか…

 

*1:俗にいう幻猫。

*2:違った環境や見知らぬ人に全く慣れない神経質な性格ではおちおち旅行に出かけることもできない。

2月22日は

今週のお題「ねこ」

 

2月22日の猫の日にちなんだはてブロの今週のお題

初めて迎える猫の日に我が家の居候は、避妊手術後の不自由な保護服生活の真っ最中。

 

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服を着せられた犬は珍しくないので犬は大して苦にもしないのだろうが、身体に纏わりつき締め付ける服を大の苦手としているのが猫。我が家の居候も例外でなく、着せられて暫くの間は麻痺したようにまともに動けない。歩こうとすれば転倒し立ち上がろうとすれば仰向けにひっくり返り、保護服というよりまるで拘束衣の様相。階段の上り下りができるようになるまで小一時間を要し、一日経ち二日経っても不自由そうによちよち歩くのが精いっぱい。それでも抜糸までは傷口を舐めないようにカラーか保護服が必要で、カラーの不自由さ*1よりはまだマシなので心を鬼にして十日間我慢させる。

 

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というわけで、腹を縫われハゲを拵えたうえに不自由な服を着せられて散々な猫の日。222でにゃんにゃんにゃんなんて言ってる場合じゃないよとでも言いたげな憂鬱顔。

 

*1:身体の不自由さこそないもののどこに行くにもカラーがひっかかってまともに歩き回れず、本能で毛繕いをしようとするのでカラーも顔も涎でべとべと。見てらんない

下町の湯、廃業

行きつけの銭湯までは徒歩15分。

帰宅までに汗をかいてしまう夏場やその逆に身体が冷え切ってしまう真冬を除いては月二回は訪れている山吹町「松の湯」。なんということのない普通の銭湯であるところがまた良い。

前の週に降った雪もあらかた溶けた二月の週末、久々にケロリン洗面器を抱えて訪れてみると様子がおかしい。灯りが消えシャッターが下り、入口脇の料金表の看板も剝がされている。

 

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更に近づいてよく見ると、無遠慮に貼られている大きな紙が目に入る。

まさかこれは。

 

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そのまさかで、松の湯の取り壊しとマンション建設を告知する張り紙が味わい深い古いタイルの壁にべったり貼られている。

また一つ下町のほっとする施設が消え、面白くも何ともないマンションが取って代わる。ていうかもういいよマンション新築は。今後はガンガンと、それこそ年間何十万人規模で人口が減っていくこれからの日本でこれ以上必死こいて狭い土地にマンションおっ建ててどうする。

ささやかな生活のささやかな楽しみが一つ消えるのは面白くないことに違いないが、不幸中の幸いで徒歩圏内に銭湯がもう一つ、ここからさらに五分ほど歩いたところ*1にある。六人も入ると一杯になってしまう小さな浴槽と殺意を感じるほどの熱い湯を敬遠してあまり行くことがなかったのだが、こうなってしまっては選択の余地はない。それもいつまで続くことか…

*1:最近はメディアが「奥神楽坂」とかふざけた通り名で流行らそうとしているゾーン

猫の首に鈴

カール・ゴッチと同じ誕生日である我が家の新入りが無事月齢6か月を迎えたのとほぼ時を同じくして、首輪屋さんに注文していた新しい首輪がとどいた。

 

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暗青緑色のベルベット地に蝙蝠を象った鈴。これまで付けていた首輪は鈴なしのサイレント仕様だったのだが、考えた末に鈴付きでオーダー。

猫になんか残飯に味噌汁ぶっかけた猫まんまを与えておけば十分と思われていた昭和の昔とは違い、動物愛護意識の高まった現代日本においてはかつて当たり前だった猫の首輪の鈴に対しても否定的な意見が目立つようになった。

曰く、首元の異物の存在がストレスとなる。人間より遥かに鋭敏な猫の聴覚には尚のこと、絶えず音を立てる鈴の音はストレス以外の何物でもない。首輪ですら異物としてのストレッサーになるから出来ればつけるべきではないのだ。況や鈴においておや。

言われてみれば尤もな意見であるにもかかわらず、我が家の居候に鈴をつけることに踏み切った理由は主に二つ。

 

1.室内の事故防止

気配を消すのが得意な動物である猫に音もなく背後に忍び寄られたらそれに気づくのは至難の業。我が家ではねこふんじゃった事故こそ発生していないが、振り向きざまに足を引っかけてしまった小事故は既に何回か発生している。足元に居候が蹲っているかもしれないと常に想定して注意深く振り向けば問題ないのには違いないが、365日24時間片時もそれを忘れずにいることができるなら世話はない。人間は忘れる動物でありミスをする動物でもある。そして偶々別のことに気を取られて無造作に振り返った、そのたった一回が小さな居候に致命傷を与えるには十分な機会となりうる。体重差は20倍、我々が象に踏まれたり蹴とばされたりしたときのことを考えれば呑気に童謡にして口ずさんでいる場合じゃない。注意一秒怪我一生。

また怪我をするリスクは人間様も同じ。これから老化の一途をたどる身としては、思わぬ足元の障害物で足がもつれて転倒したり足を取られて階段から転げ落ちたりするリスクは年を取るごとに高まりこそすれ低くなることはない。

鈴の音で居場所が分かればこれらのリスクを確実に軽減することができる。

 

2.脱走時のサルベージ対策

十分気を付けてはいるが、それでも万一脱走された時のことを考えてみる。

猫の習性からして、初めて接する外界の中を一目散に走っていくことは考えづらい。外に逃げ出したとしても暫くはそう遠くに行かず、環境に慣れるまで近所をうろうろしている可能性が高いだろう。その間に、遠くに行ってしまう前に見つけ出して保護することができるかどうかが文字通り生死の分かれ目となるのだが、身体が小さく隠れるのが得意な(しかも犬と違って三次元で動く)この生き物を見つけ出すのに鈴の音は有力な手掛かりとなるに違いない。逆に言えば鈴がない場合はある場合に比べて発見・保護に至る可能性は随分低くなるだろう。*1

 

我が家の結論

このように鈴をつけないことのリスクは明確である一方、鈴をつけることのリスクは実は明確ではない。「100匹の猫を鈴つきと鈴なしのグループに分け鈴の有無以外は全く同じ環境で十年にわたり飼育したところ、二つのグループで疾病罹患率や寿命に有意の差がみられた」という調査結果でもあれば明確なリスクありといえるが、世界の誰一人としてそのような統計的な調査分析は行っていない。あくまで鈴はストレス「となるに違いない」という推測に過ぎず、そしてストレス耐性には大きな個体差があるということは我々人間を見ても明らか。また大人と比べ子供の方が環境変化への順応性が高いのは人間も犬も猫も変わらず、であれば猶のこと鈴をつけるならば成獣となる前の今しかない。何年か経ってから「やっぱり危ないから鈴つけようか」となっても手遅れ。何年も鈴なしで生きてきたところに突然出現した首元の騒々しい異物はそれこそ甚大なストレッサーとなってしまうだろう。その逆、昔から付けていた鈴を外すならばこれはいつでも出来る。

これら諸々を秤にかけた結果が首元の黒い鈴。

装着直後は見ていて気の毒なほど嫌がっていたが、一晩経ったらけろりとしているように見える。

しかし前述のとおりストレスには個体差があり、我が家の新入りのストレス耐性の程度は今もって未知数(何十回叱られても同じ悪戯を繰り返す程度にはあつかましいが)なので暫くは様子を見るしかない。明らかに元気がなくなったり食欲が落ちたり下痢が続いたりなど明確なストレスサインが見られるようであれば、理屈や能書きはどうあれやはり外すしかない。

 

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と書く今回のエントリをアップする直前にPCを引っくり返して電源を落とし、一から書き直しさせて得意げな居候。それだけ図太けりゃ大丈夫だー(呆)

 

 

*1:同様の理由で首輪をつけないという選択肢もない。野良ではないと一目でわかる首輪をつけていない猫が捕獲された場合に悲惨な運命を辿るリスクは首輪付き猫と比べ格段に高くなることは想像に難くない。