おろしや国一週間(16)2018年12月18日 サンクトペテルブルクその5
ピロシキ食べたらドストエフスキーさん家に行こう
ピロシコバヤでブランチの後はゆるゆるとドストエフスキーが生前住んでいたアパートへ歩く。
文豪ドストエフスキーが生前居住していたアパート*1がそのまま博物館になっている。
徒歩ルートはこんな感じ、ちんたら歩いてもピロシコバヤから10分程度
作家としてそれなりに成功していたにしては質素な住まい、それも生前の無軌道な生活ぶりを知るならば納得がいくに違いない。今でこそトルストイと並ぶロシア文学二大巨頭のような扱いを受けているフョードル・ドストエフスキーだがギャンブル依存症で借金漬けの生活破綻者であったことはつとに有名。この街で若い妻と暮らし始めて晩年になってようやく人並みの安定した生活を手に入れたらしいが、彼の作品に多く登場する「どうしようもなく弱い人たち」の説得力のあり過ぎる描写は彼だからこそ成しえたのかもしれない。
市場に寄り道
ドストエフスキー家を辞してぷらぷら歩いていると、市民が出入りしている大きな建物を発見。中を覗いてみると市場が広がっていた
歩き回ってみると蜂蜜売り場を発見。結構安いので二種類の蜂蜜を500gずつ買ってみる
場所は多分ここ
二回目の玄関タイル選び(決定)
居候に破壊されたために二度目の施工を行うことが決定した我が家の玄関タイル。
当初イメージしていた綺麗めの木目タイルが何か違うと気づいたのが昨年の秋。
再び立て直したイメージを固めるべく、年が明けてから外苑前のサンワカンパニーショールームに再び足を運びあれやこれやを矯めつ眇めつ。
今年で完成から満9年を迎える我が家の課題は「綺麗に古びる」こと。綺麗に古びる家に相応しい玄関タイルは内床の一部のようにかっちりと綺麗に纏まったものでなく、その反対に「外」が家の中に入り込んだようなラフな趣のあるもの。正月休みに訪れた博物館動物園駅の床のように、えも言われぬ古びた味を出すタイルこそ我が家には似つかわしい。
そのイメージを携えて再び訪れたサンワカンパニーで改めて候補となるタイルの現物の質感や感触や色艶をじっくりと確かめる。
「ポルトベロ」が最もイメージに近いものの、表面がやすりのようにざらついているのがどうも気になる。滑りにくいという利点はあるがここまでザラザラでは汚れやすさも汚れの落ちにくさも屋内床として看過できないレベルだろうし、雑巾がけをした雑巾などすぐにボロボロになってしまうだろう。
慎重に検討を重ねた結果、二度目の我が家玄関タイルは300mm×600mmの中判タイル「ボイジャー」のグレーに決定。地味すぎず派手過ぎず、わざとらしくもなく、程よくボロいこの趣が実にいい。我が家の狭い玄関にもきっといい感じにハマるだろう。工事は暖かくなって十分な時間の取れる平成最後の大型連休に行うこととしよう
アオダモ三度目の春ブースト
アオダモ、三度目の春を迎え昨年にも増して枝の伸びが著しい。昨年もそんなことを書いていたような気がするが今年は更に更に加速度を増している
我が家に来た頃には自分の身長より低いくらいだった高さは今や3メートルを軽く超え、若葉の繁りは鬱蒼という言葉を想起させるほどになってきた。ここまで育てば先代のナツハゼのように立ち枯れる恐れは少なく、まずは一安心。引き続き令和も頑張ってくれたまえ
おろしや国一週間(15)2016年12月17日 サンクトペテルブルクその4
エカテリーナ宮殿へは現地ツアーに申し込むのがおすすめ
パリを訪れた旅行者が日帰りでヴェルサイユまで足を延ばすのと同様、ペテルブルクへの旅行者が何はさておき訪れるのがエカテリーナ宮殿。鉄道駅は通っていないのでバスに乗っていくことになるが、コスト命のバックパッカーであったとしてもここは現地の団体ツアーに申し込むのがおすすめ。各停で迂回しながら現地に向かうより路線バスより直行直帰の専用バスの方が移動に要する時間を大幅に節約できるし、更に入場待ちの長蛇の列となるハイシーズンでは個人より団体の方が明らかに入場の順番で優遇され、ここでも行列時間を大きく短縮できる。時間が幾らでもある余裕のある日程ならともかく、一週間程度のタイトな日程であれば金で時間を買えるならそれに越したことはない。16時を回る頃にはもう暗くなってしまう真冬なら猶のこと。
ということでネフスキー大通りを下ると見えてくるチケット小屋でエカテリーナ宮殿行の現地日帰りツアーに申し込む。とはいえエカテリーナ宮殿ツアーとは書かれていないので、所在地のプーシキン(Пушкин)行のツアーに申し込む。チケット小屋は黄色い三角ビルの手前のこの辺、街歩きをすれば誰でも容易に発見できる。
冬場のお勧めはロシア語ガイド付ツアー
現地日帰りツアーは海外観光客向けの英語ガイド付きと国内観光客向けのロシア語ガイド付きの二種類あり、それぞれ別の出発時間が割り当てられている。冬場に訪れる旅行者には英語ガイドでなくあえてロシア語ガイドのツアーを勧めたい。理由は時間、英語ガイドツアーは「8時出発の正午戻り」か「14時出発の18半戻り」の時間しかなく、その間の午後のツアーはロシア語ガイドツアーしか選べない。ホテルの朝食も摂らずにまだ夜も明けない時間に出発する朝出発も、現地に到着したと思ったら暗くなってしまう夕方発も冬場の観光には好ましくないので、ここは時間帯優先で正午発のロシア語ガイド付ツアーに申し込むのが正解。ロシア語ガイドが何を言っているかは分からないが、事前にしっかり予習しておけば理解に問題はない。値段も英語ガイド付3000ルーブルに対し2200ルーブルと少し割安。
出発時間が近づくとチケット小屋近くに集まってくるツアーバスのフロントガラスに表示された行先を確認してチケットを提示して乗り込む。現地まではおよそ45分、絶えることなく続くガイドのおばちゃんのマシンガントークにうんざりする頃にプーシキン公園に到着。
筆舌に尽くしがたい宮殿の説明は割愛。詳しく解説したウェブサイトは幾らでもある
スケール、豪華さともにヴェルサイユ宮殿に匹敵すると言われるエカテリーナ宮殿の壮麗さについては面倒くさいので今更ここでくどくどと述べないが、ヴェルサイユの真の壮大さは東京ドーム何個分かのシンメトリーな巨大庭園にこそあり、その点で同じく巨大ではあるものの庭園の作り込みが弱いエカテリーナ宮殿よりはヴェルサイユに軍配が上がる。宮殿それ自体は両者ともきんきらきんの日光東照宮が質素に見えるほど贅を極めた建築物であり、どちらが豪華で壮麗であるかを比較するのはトラとライオンとどちらが強いかを考えるようなものであまり意味を持たない。ただ18世紀のロシアの国力の強大さに思いを馳せるのみ。小ぶりな体育館ほどのサイズの大広間でエカテリーナ二世に拝謁した大黒屋光太夫は現代に置き換えれば異星で異星人と対面したようなものだろう
エカテリーナ宮殿で唯一撮影が禁じられているのが琥珀の間。文字通り四面の壁面を余すところなく琥珀で覆っちゃったという、秀吉の黄金の茶室が上品に見えるセンスもすごければ独ソ戦の最中に全て壁から剥がして持ち去ってしまったドイツ人の強欲さもすごく、それが未だ行方不明という話もすごければ戦後また元通りに修復したロシア人の執念もすごい、色んな意味で日本人は引いてしまうエピソード満載の一室。室内に撮影禁止の立て看板はあるものの室外からの撮影は特に禁止されていないので、ドアのない次の間からこのような写真を撮るのはセーフ。琥珀の間というから壁面が全て純露のように透明な琥珀(小学生レベルの比喩)で覆われたキラキラした部屋を想像していたが、実際の琥珀の間ではチェルシーのように不透明な琥珀(小学生並の比喩)が多く使われていたので個人的にはやや期待外れ。発想と努力は認める。
猫砂パッケージ問題
重く大きく嵩張る上に消費が激しいという点で猫のトイレ砂は通販購入が最も適した品の一つと考えられるが、通販でのデメリットは送料がかかること。それを避けるために幾つかまとめ買いするのが常の我が家では買い置きを猫トイレの近くにある人間トイレと壁の間に積んで置いているのだが、ペット用品のパッケージはどうしてああ色彩センスが壊滅的なのか、とにかく色数が多くけばけばしい見た目はそれだけで部屋の雰囲気をぶち壊し、当たりが散らかっているかのように見せる破壊力がある。
小さい家ですっきり過ごすにはこういう細かいところを疎かにしてはいかん。
ということで布袋を取り寄せ、猫砂はいったんこれ移し替えることとした。
土嚢か非常袋のような見た目だが、あの毒々パッケージをそのまま置くよりは余程雰囲気には馴染む。インテリアを重視し、かつ二か月に一回くらいの手間が惜しくない猫飼いにはお勧めのライフハック。
おろしや国一週間(14)2018年12月18日 サンクトペテルブルクその3
ピロシキ専門店でランチ
ロシア料理といえばボルシチとピロシキ、あと知らない。という非グルメな自分でも足を運ぶ気になるのがカジュアルなピロシキ専門店、その名もピロシコバヤ。
ガイドブックにも必ず載っている程の有名店で、地下鉄駅でいえば一番線プロシャージ・ボスタニヤ(Площадь Восстания)駅が近いがネフスキー大通りを真っ直ぐ下って行くと辿り着く蜂起広場に面しているので、とにかくホームまで遠い地下鉄を使うより歩いて行った方が楽。店の場所は分かりやすいものの広場から見通せる場所にはなく、また看板も実に地味なので意外に分かり辛い。グーグル先生上でピンポイントで指定すると場所はここ
半地下の店内はほぼファーストフード店のそれで、カウンターでメニューを見ながら注文して支払ってセルフで運ぶ。メニューはロシア語のみなので当然殆ど分からないが、ショーケースの物が欲しければそれを指さしてパジャールスタと言えば何とかなる
おすすめはカーシャ
ピロシキ専門店といいつつメニューは意外と充実していて、スープもボルシチをはじめ数種類。中でも是非試してほしいのがカーシャ。表記は四文字「каша」なのでメニューでも分かりやすい。一言でいえば大麦などを牛乳で煮て甘ったるく味付けされたロシアンおかゆで、その摩訶不思議な味付けは日本人の口に合うとは言い難いが残さず最後まで食べましょう。ただ決して日本で口にすることはできないであろうという意味でボルシチやピロシキよりお勧めの一品。
Roman LWH
東京一とは言わないが、定住する家としては*1区の中で一番小さいのではないかと思っている我が家。その我が家より小さいのではないかという家が、日本より家が広くて当たり前の欧州のローマにあるという話。
見た感じ間口は明らかに我が家より小さく、高さも我が家より低い。もしかして奥行がずっと長いのかもしれないが、表から見た感じでは我が家よりさらに小さい。老婆の一人暮らしが想像されるが、手前に並んだ二台のバイクから察するに比較的若い夫婦の住まいかもしれない。
あばら家ではなくてきちんと住まわれている小さな家を見ると豪邸を見るより何だかわくわくするのは自分だけだろうか。新横浜のラーメン博物館で再現されている戦後の昭和の街並みには本当に小さな長屋が並んでいるのだが、その戸口をくぐるわくわく感に似ている。ローマを訪れた暁にはぜひ訪れてみたいものだ。
*1:明らかに我が家より小さな家が近所にあるが、見たところ人は住んでおらず事務所というか物置きになっている模様。